阿片の降る街に
初めまして。東都からとなりに越してきた、西戸と言います。お、高校生なんだ。いいねえ。ああこれ、お近づきの印に。
それにしても寒いね。ちょっと僕、楽しみなんだ。何年ぶりかに雪が見えるかも知れないから。
そうそう。確かに去年も雪は降ったよ。でも、僕には分からなかったんだ。僕の街には毎日、阿片が降る。雪のように、白い粉が降り注ぐ。頭おかしいんじゃないかって?そうかもしれないね。
でも僕には見えてしまう。皆が白い粉を吸い込んでるところが。そうやって、痛む体に、病む心に鞭打って生きてるところが。
この阿片は普通、目に見えない。でも、ふと空を見上げてると、それが見えてしまうことがある。そうしたら大変だよ。ひどく苦しまなければならない。それがまやかしの快楽だって分かりながらも、止めることが出来ないのだから。依存性があるからね。
僕はだからこの街に来た。もう苦しまないように。
その阿片の名は夢。
この街に雪は降りますか?
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