なごり雪
おい、まだそんなこと言ってるのか。
怒るぜ、俺。
お前は汚くなんかない。
確かにドラム叩いてる時のお前もいいけど、ハレ姿のお前、最高だったぜ。
馬子にも衣装っていうもんな。
ははは、怒んなよ。
ま、とにかくだ。お前は茶の間でせんべいかじりながらテレビでも見てればいいんだ。
いつかそこに映ってやるからよ。
「結婚なんてするんじゃなかった! 」って後悔させてやるからよ。
そろそろか。
じゃあ、元気でな。
たまには手紙出せよ。
野菜とか送ってくれよ。
おめでとう。
お前は綺麗になった。
―――遠ざかる電車を見送る俺の肩には季節外れの雪が降っては溶けている。
俺も本当はなごり雪。
いつかは溶けると知っているのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます