□風が吹けばキャバクラが儲かる

ここは平成ことわざ審議会。

昨今若者のことわざ離れを苦慮し、ことわざを現代風にアレンジすることでその認知度を高めることを目的としている。


はてさて、今日はどんなことわざが生まれることやら。


「今日の議題は、風が吹けば桶屋が儲かる、です。桶屋、が若者たちに受け入れられにくいようですね。何かアイデアがある方はいらっしゃいませんか?」


「議長、私に提案があります!」


「おお古戸沢君、お願いします。」


「風が吹けばキャバクラが儲かる、はどうでしょう?」


ざわざわ。


「ええ・・。説明の方お願い致します。」


「風が吹くと砂ぼこりが舞いますよね。当然、目に入ります。皆さん目を掻いて、充血してしまうことでしょう。」


「ふむふむ。そこまではいいでしょう。」


「するとどうするか。薬局に目薬を買いに行きます。そこで皆さん出会ってしまう訳です。薬剤師のお姉さんと。薬剤師のお姉さんは間違いなく可愛い。やはり白衣を着ているのが大きいのでしょうか。私としては、薬を・・」


「・・それで?」


「失礼。話が逸れてしまいました。皆さんはお姉さんにアタックするでしょう。が、しかし!薬剤師のお姉さんには彼氏がいる!これは私の経験則上間違いない!一時の夢は塵と消えてしまいます。」


「・・・。」


「夢破れた男たちは何処へ向かうか。もちろんキャバクラです!それは誘蛾灯に虫たちが集まるように自然の摂理なのです!」


「話は以上ですか?」


「はい!」


「それでは採決を採ります。今の提案に賛成の方は挙手をお願い致します。」



思わず目を掻きむしりたくなるような光景が目の前に広がっていた。

古戸沢は密かに今日の店の予約を入れた。



がんばれ古戸沢。

負けるな古戸沢。

ことわざの明るい未来のために。

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