チキンズレース

さあ始まりました第15回チキンズレース。

実況は私小野、解説は初代王者烏丸さんで熱戦の模様をお伝え致します。

宜しくお願いします。


「宜しくお願いします。」


今回出場する選手は3名。


第1コース、2年B組のビビり王、鶴見五郎。

優勝候補の筆頭です。

「彼の24時間ヘルメットを着けて生活している筋金入りのチキンですからね。今日も愛用のヘルメットが頭に輝いております。」


第2コース、名前負けを体現する男、鷲田竜介。この選手も侮れません。

「修学旅行で行ったお化け屋敷での立ち振舞いは圧巻でしたね。あの時と同じくらいのパフォーマンスを見せることができれば或いはと言ったところでしょうか。」


第3コース、山田啓二。彼は全くデータがない選手ですね。

「私が手にいれた情報によると、今回のチキンレースに誘ったのが彼だということです。正直なところ優勝は難しいでしょう。」


なるほど。

では続いてサーキットを見ていきましょう!学校の自転車置き場からスタートした各選手は、街並みを走り抜け河川敷へ。川に向かってチキンレースをおこない、川から最も遠くで止まってしまった者がチキン王の栄光を手にします。


そうこうしているうちに準備が整ったようです。各選手一斉にスタート!!

勿論立ちこぎなど危険な真似はいたしません。絵にかいたような安全運転だ!


さて、選手たちは第1チェックポイントの横断歩道にさしかかりました。右を見て左を見て右を見る。この辺りは流石ですね。鷲田選手はまだ左を見ようとしています。いつになったら渡れるんだー!


「このような細かいところで、選手のポテンシャルが伺えますからね。鷲田選手、調子は万全と考えてよいでしょう。」


そうですか。

鶴見選手と鷲田選手の接戦を期待することができそうです。


・・おーっと鶴見選手、遅れているぞ?

どうしたのでしょうか。


「なあ、やっぱりやめようぜ・・。」


怖じ気づいたー!!

この声を聞いて各選手ストップ!


「まさに鶴の一声ですね。」


試合終了ーー!

優勝は河川敷にすらたどり着かずに止まってしまった鶴見五郎選手でした!

おめでとうございます!


今回のレースもハイレベルなものとなりました。ところで、解説の烏丸さん。烏丸さんが優勝された際はどこで止まってしまったのでしょうか。


「私は危ないので自転車を持っていませんでしたからね。敢えていうならば、誘われた時点でしょうか。」


流石の貫禄!

私としては、歴代王者のスペシャルマッチを見てみたいところですね。


それでは、今日はこの辺りで!

烏丸さん、ありがとうございました。


「ありがとうございました。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る