ツツヌケメガネ
やっと完成した。
世紀の大発明だ。
その名もツツヌケメガネ。
このメガネをかけると、周りの人が自分に対してどれくらい好意を抱いているのか分かるのだ。例えば、助手の佐藤を見てみよう。
30%。
握手したらさりげなく手を拭かれるレベル。
ふん。こんな女こちらから願い下げだ。
なんにせよ、このメガネを使えば私の運命の人を見つけ出すことができる。私の春も近い。
それから私は、常日頃からツツヌケメガネをかけることにした。60%、70%、数値が高い女もちらほら見つかったが、なかなか進展しない。こいつらではないのだろう。
ある日私はついに運命の女と出会った。
99%。こいつだ、間違いない。
あとは飯でもおごってどうでもよい話を聞いてやればいいのだ。私のことを好きなのだから。
簡単にデートの約束を取り付け、私は休日を待った。
当日。女は来ない。
代わりに来たのは1通のメールだった。
文面の最後にはこう書かれていた。
「貴方のことよく見てたらツツヌケだもの。汚い魂胆も意気地無しな性根も。」
私は研究室に帰り、ツツヌケメガネを地面に叩きつけた。ガシャンという音が響く。
「どうしたんですか!?大丈夫ですか?」
佐藤さんが駆けつけて破片の掃除をしてくれた。
メガネはもうない。
彼女の内面はわからない。
それでも私は以前より彼女の輪郭が明瞭に見えるようになった気がした。
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