パジャマ姿で殺されるな。

作者 坂口 修治

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★★★ Excellent!!!

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麻薬捜査官の、まさに命がけの潜入捜査をドライな筆致で描ききった作品。

麻薬や博打などに手を染める組織の末端へ潜り込み、次第に信頼を得て組織の内部へと深く潜入していく主人公。
会話や取引、組織の構成などがとてもリアルで、それだけに読んでいて正体がバレやしないかと常にハラハラ。まさに潜入捜査官に成り切って読むことが出来る。

また、組織で麻薬関係を一手に扱う幹部カルロスは犯罪者でありながらも、主人公を長年捜し求めていた片腕として信頼するようになり、その姿には少し同情するところも。
もし自分ならばカルロスに情が移って悩み苦しむかもしれない。
しかし、そんな姿を微塵も見せない今作の主人公は、麻薬捜査官って仕事は信念を強く持ち、たとえ殺されるようなことがあったとしてもそれだけは揺るがないという心を持たないとやっていけないということをその姿で語ってくれる。

まさにその世界のプロフェッショナルを描いた力作だ。

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★★ Very Good!!

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 囮捜査官、尾熊。
 相手側に疑念を抱かれることなく相手側組織の重要な情報を抜き取るという、図太い神経でなければ遂行できない仕事を、尾熊の内面の描写と合わせてこれほどまでに綿密かつリアルに描写出来るのは、坂口さんの人生経験の一つにあったからのように思います。
 警察や薬物に関する用語を使っている点も、本人にこのような経験がなければ知らないであろうし、むしろ使っていなければ嘘臭さもあるでしょう。

 もう一つ気になった点として、淡々とした文章や会話が紡ぐ、じわじわと歩み寄ってくるような不気味さ。仮にも命がけの仕事であるはずが、終始安定した文脈で綴られるストーリーがまた生々しさを感じます。不気味さともどかしさが良い塩梅で嚙み合っています。
 だからこそ、話の盛り上がりがいつやってくるかという期待が膨らみます。
(囮捜査という任務故の緊迫感や盛り上がりに気付かずに作品が終わってしまう? という危機感も感じつつ)
 さて、ここでこの作品の二章のタイトルを思い出してみます。

 悪事はそっとしたたかに。

 この一文がこの作品の鍵になるのではないでしょうか。