第33話 おっさんと女神降臨

街までの道中は道も整備されていて たかだが5㎞くらいしかないので特に何もなく

リドリーとリオンはダンジョン内でもほぼ何もしてなかったので


「私ほんとにただダンジョンを体験しただけだった」

「リドリーさんは冒険者じゃないのでそれでもいいですが・・・私なんて冒険者なのに・・・」


と少し元気をなくしたがライネルさんが優しくフォローをしてリドリーがリーネさんに今度から時間があるときにまた練習するから教えてと言っていた。


それを聞いたリオンが その時 時間が合えばぜひ私も参加させてください! といいリドリーが

もちろんだよ! 一緒に頑張ろう! と手を取り合っていた いつのまにか二人の間に絆のようなものが

できていたようだ。


それを見てリーネさんが やれやれ 仕方ないね ただし宿の仕事の合間だけだからな といい

それならうちに部屋とったら? とリドリーの提案に 部屋があるなら是非! とリオンが答えた

リーネさんは これで長期滞在客一人GETだな と黒い笑いを浮かべ俺とライネルさんが

そこには触れないように苦笑だけして街を目指した。


街に着くと門番のロベルトさんが


「よぉ! アマガイ ダンジョンに行ったんだろ? 随分早い帰りだな リタイヤしたのか?」


と言ってきたので 一度行ったダンジョンなんで今回は迷わず進めたから という感じでさらっと答えた

ロベルトさんはそれを聞いて 少しびっくりしてたが ライネルさんとリーネさんをみて まぁその二人もいるしそんなもんか と笑って門を通してくれた。


街に入るとリーネさんは 宿をこれ以上開けられない とさっさと宿に帰り 帰り際にリオンに部屋を1部屋開けておくから明日からうちにこい と言っていた。


俺たちはそのまま アルさんたちが準備を進めてくれている手はずになっているのでライネルさんの工房へと進んでいった。


工房横の建物へついて新しくなったデカい豪華な扉を開け中にはいる。

扉は昨日のうちにライネルさんが作って取り付けてくれたそうだ。


中に入ると


「アマガイさん!皆さんもお帰りなさい!」


とメイちゃんが俺に飛びついてきた


「メイ?皆さんダンジョンから戻ってつかれているんですよ?」


とメイちゃんをたしなめ俺たちに ご苦労様でした お帰りなさい と優しく微笑みかけてきた

それぞれ ただいま と挨拶をし、準備の進行具合を確認すると 教会になる部分はもうほとんど

準備ができていて あとは左横の扉の向こうにある生活スペースの整理が少しあるだけだということ

だったので 


「では、さっそく 女神像を祀ろうか」


と俺がいい祭壇へ向かい俺とライネルさんリオンの3人で像を少しだけ持ち上げリドリーにマジックバックを像の足元から抜いてもらった。


メイちゃんが像をみながら ほんとにきれいな女神様だね! とはしゃぎながらいい

そうね とアルさんが優しく微笑んでいた。

その声を聴いたのか住居スペースとの扉が開き


「アルさん もう皆もどってきたの!?」

「あっ!リオンちゃん!アマガイさん! おかえりなさい」


とヨーコとカナが出てきた 話を聞くと非戦闘組はこれからここに住むそうだ。

二人は女神像をみて 立派な像だね とか 綺麗な女神さまですね といい

じゃぁ お供え物持ってきますね とメイちゃんをつれてまた住居のほうへ戻っていった。


少しして3人は色々な食べ物などを皿にのせ戻ってきた。


「アマガイさん! このお供えはどこに飾ればいいですか?」


とカナが聞いてきたので女神像の足元あたりを指定した。

俺もよくわからんから適当だが あの女神様はそんな細かいことを気にしないだろうと思った。


祭壇へ供え終わり おれが拍手うち拝むと 全員俺の後ろに横一列に並び俺に続いて拝み始めた。

なんとなく 俺が よし! と合図し 目を開けると


そこは真っ白い光包まれた空間で 目の前には 手を胸で組み 感動した様子の女神がウルウルした目で

こちらを見ていた


「へっ!?」


という俺の声のあと後ろから ここは!? あれ?? とか色々聞こえてきたので後ろを見ると

今回は俺以外も全員この場所に来ていたようだった。

俺はそれを確認して女神を再度みると 女神は ごほんっ と咳ばらいをし


「アマガイ様 皆様も此度は私わたくしのためにご尽力いただきありがとうございました」


と綺麗で柔らかな笑顔を向け軽く会釈をした それみた俺以外のみんなは見惚れたのか絶句しているようだった。


「いや俺は女神様との約束を果たしただけです」


と俺がいうと ウルウルした目で アマガイさん ほんとにありがとうございます と俺にだけ聞こえるくらいの小さい声でニコッと笑いながら言ってきた。

そして目線を再び全員のほうへ向け


「私は遥か昔にとある事情により地下の神殿へと追いやられ人々からも忘れ去られた神です。

それをアマガイ様含めここにいる皆様方が再び日のあたる場所へと連れてきてくださいました。」


感謝します と再び頭を下げる女神に


「はわぁ・・・綺麗・・・・・」


「いえ 私たちも女神さまのおかげで新たに住む場所など提供していただきましたし素敵な人々とのつながりが持てました。」


「私も今回も無事にダンジョンを攻略できました」


「う・・・美しいわぁ 美しさこそジャスティスよぉ!」


「私たちはまだアマガイさんに言ってなかったので信者じゃないけど・・・いいのかな?」


「こんな綺麗で優しい女神さまに会えたんだよ? これはもう入るしかないじゃん!」


とそれぞれ言っていた 誰が何を言ったのかは後ろをみていないのでわかりません。

それを聞いた女神が 皆さんありがとうございます!! と涙を流し笑いながら礼を言った。

そして


「せっかくですし、今の私にはこれくらいしかできませんので、これより私が皆さんに洗礼と祝福を行ってもよろしいですか?」


といい ライネルさんが 女神様みずからですか! 素敵!!! と喜んだ。

皆も お願いします! と女神さまに頭を下げて喜んでいた。

ヨーコとカナはそれをみて自分たちはどうすればいいのか 悩んでいるようだったので


「二人はそれぞれ自分がしたいようにしたらいい 回りに合わせる必要も無理にすることもないよ」


というと二人は顔を見合わせ 頷き合った後俺に 自分たちも入れてほしいと言ってきた。

俺は女神様をみると女神様は優しくうなずいたので二人も信者に入ってもらうことにした。

その際にライネルさんから砂時計のアクセサリーの説明を受けていたが女神様もそれを聞き


「そんな素敵なものまで作ってくださってたんですか!」


と感動し今回は特別にお二人の分は私が用意しますね と俺のほうにきて俺のアクセサリーに手を添えると同じものを二つ何もない空間から出した。


「神の奇蹟をみたわ!」

「すごい!」


等いろいろ言われ女神様が少し照れていた 二人には洗礼を受けるときに女神様がクビにかけてくれることになった。

そして


「では これより洗礼の儀を執り行います」


となぜかリオンが進行役をやり洗礼の儀が始まった。


「まず アマガイ様 こちらへ」


と女神様にいわれ女神様の前に立ち膝のように膝まづき頭を垂れると 女神様が俺の頭に手を置いて


「時の女神の名のもとに汝に祝福を」


というと手を置かれていた部分から気持ちのいい暖かさを感じた。

それが収まり手が離れたので俺は立ち上がり 女神様に ありがとうございます と礼を言い元の場所にもどった


次にリドリーが呼ばれ俺と同じことをされていた ライネルさん メイちゃん アルさん リオン とつづき ヨーコの番になって頭に手を置いた女神様が


「あら?あなた何かに阻害されて職業が選べなくなっているのですね?」


と言ってきた なので一度 洗礼の儀を中断し 俺は女神様に俺たち転移組のことを簡単に説明した

話を聞いてライネルさんとリドリーは驚いていた。

そして

説明をきいた女神様は なるほど といい何か思い当たる節がありそうだったので聞いたが

今のところわかりません といい でもこれくらいなら今の私の力で解除でそうなので祝福を与えるときに解除しますね とヨーコとカナに微笑みながら言った。


二人は驚き女神に感謝していた。

その後二人は無事に祝福の儀をおえ 頷き合った後 


「「せーーーのっ! ステータス!!」」


と唱えた

すると今まで出ることのなかったタブレット画面のようなものが二人の前に現れた。

二人は泣きながら でたよ! 私たちにもでたよ! と喜び抱き合った。

それをみて ライネルさん リドリー アルさん メイちゃんがもらい泣きをし

ダンジョン攻略後から一緒に行動していたリオンは号泣しながら二人と抱き合った。

俺は心からの感謝をこめて女神様に頭をさげた それをみた皆が一斉に頭を下げ感謝した。


ひとしきり感動しおえたのを見計らい女神様が


「皆さんの洗礼と祝福は終わりました それと皆様に私から感謝の意を込めてささやかなプレゼントもさせていただきました。」


といい 皆にステータスを見る様に促した 皆がステータスをみたのを確認すると女神様は


「皆さんの状態異常耐性を少しあげ 私の固有の加護の一つで称号 時の女神の信者 を付与しました」


といい 時の女神の信者の説明をした 時の女神の信者という称号をもっていると信者の数1人につき それぞれの得意なステータスに+1補正が入るということだった。

俺は自分のステータスをみると俺のはすべてのステータスが信者の数により+されていた。

俺は不思議におもって女神を見ると頭に直接女神の声が聞こえた。


「えっ?」


とつい声を出してしまい 皆にどうした? と心配されたがなんとかごまかした。

それをみていた女神様はクスクス笑いながら再び俺の頭の中に直接話しかけてきた。


『アマガイさんは一人目の信者さんということで特別ですよ』


ということらしかったのでありがとうございます と礼を言うと 私のように他の忘れ去られている神たちもできるだけ助けてあげてください おねがいします と言ってきたので まかせてください と了承した


「最後に信者の証のアクセサリーもグレードアップをさせてもらいました」


と女神がいうと 各々自分の首にかかっているアクセサリーを見た

俺の砂時計は相変わらず色々な色が混じっていたがそこにピンクの色の砂も新たに入っていた。


他のメンバーは ライネルさんの砂はまだ薄っすらとした赤色の砂だったのに今は明るい真紅に染まっていた。

リドリーとリオンは砂のままだったのにそれぞれ緑 

アルさん メイちゃん カナは 水色に近い青色

ヨーコは赤に染まっていた。


「今までは魔力が貯まるまで時間がかかっていたようですが私の祝福を持っている方は使用後 再度砂時計を元に戻し砂が下に落ちきると貯まるようにしました」


と驚き性能UPをしたようだった。

ライネルさんは そんな高性能 次の信者ができたときに作れないわ と嘆いていたら

この教会の祭壇に供えてくれればそれを付与すると女神様がいい ライネルさんは


「私!一生女神様に仕えるわ! そしていつか女神様に頼らずその性能のものを作ってみせます!」


と感動と目標を一気に吐き出していた。

そして

女神様は最後に


「皆さん本当にありがとうございました これからもよろしくお願いします

あっ あとお供えしていただいた食べ物は皆さんで食べてください もったいないですからね」


とウィンクして手を振った するとあたりが光だし 光が収まると俺たちは女神像の前で拝んだままだった。


夢だったのかしら とライネルさんがステータスをひらくとちゃんと時の女神の信者の称号を持っていた

ヨーコとカナも首からアクセサリーをつけステータスを開けることに喜んでいた。


その後 お供え物でささやかなパーティーを開き 夜も更けたのでそれぞれが家路についた。




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