第32話 おっさんと女神像

6階へ降りると


「うわぁ 立派な神殿だね!」


あたりを見渡したあとこちらを向いて 早く女神さまのところに行こうよ! とリドリーがいい

リーネさんが 周りをちゃんと見ながらいかないと魔物に襲われるよ と注意を促したが

リドリーは 大丈夫 大丈夫 とあたりを見ながら楽しそうに進んでいく。


「でも!ここは今までの魔物のすべての種類が」


とリオンが言い切る前に 全身を赤 紫 緑 の光にそれぞれ身を包んだ ライネルさん リーネさん 俺が走り出し 早くおいでよ! と、こちらを振り返り手を振っているリドリーの背後から襲おうとしているポイズンケロッグを炎を纏った拳が襲い ヘルカスコンドルには雷のような槍が飛んでいき、パララリススネークにかまいたちのような風の刃が襲い掛かった。


その動きを目で終えなかったリオンが 


「リドリーちゃん!あぶなっ!・・・えっ!?」


きっと目で俺たちの動きをおえなかったのでリドリーに危険を知らせる前に魔物が消え去り

そこに俺たちが立っていたので驚いたんだろう。


「だから気を付けないと危ないといったじゃないか」


とリーネさんがリドリーの背後から声をかけると リドリーが えっ!? お母さんいつのまに後ろに!? えっ?ライネルさんも!? アマガイさんまでっ!? と目を白黒させて驚いていた。


どういうことなの!? とリドリーが錯乱気味に聞きリオンが わかりません! ただ魔物が出たと思ったら消えてお三方がそこに立ってたとしか! と答え 二人で うーーん とうなっていた。


「少し使えるようになったじゃないか まぁ まだ発動までの時間がかかりすぎだね」


だが、娘をたすけてくれてありがとうよ とリーネさんが俺にいってきた ライネルさんは 風まで纏うとはね と苦笑しこちらにウィンクをしてきた。


錯乱する二人をよそに俺たちは微笑みあった。


その後も数回 カエルやら蛇やらの爬虫類から巨大な鳥類、果ては人骨までと戦いながら

サクサク進んでいき。


神殿の最深部にある大きな扉の部屋の前に着いた


「ここだ」


と俺がいうとライネルさんが頷きながら扉をあけ一応 中の安全を確認した後 中へと入っていったので

そのあとに全員続いて入っていった。


部屋に入ると奥に祭壇がありそこには時の女神像が祀ってあった


「女神像あったよ! うわぁ ほんとにきれいな女神様だねぇ」


とリドリーがテンションをあげながらいい リオンが 像を持ち出す許可をもらうためお供え物をしましょう と自分のバックから 色々なフルーツやお菓子をだし祭壇へと備えていく。

それを見ると神棚を拝んでる人みたいだなと思え リオンも日本人だなぁと実感した

そして

俺もバックからお供え物をだし祭壇へ供え先ほどのイメージのせいか 像にむかって 礼をしパンッパンッと拍手かしわでを打って拝むとリオンが 神道なんですか? とクスクス笑いながらいい俺の真似をして拍手を打って拝んだ

ライネルさんとリドリーは きっとそれが時の女神への祈りの作法だと思ったのか俺たちの真似をして

拍手を打ち拝んだ リーネさんは興味なさげにそれを見て 笑っていた


俺は目をつぶって んじゃ 女神様 像を日の当たる場所に移しますよ OK? と心の中で聞き

まぁあの女神さまだと OK! と言ってくるだろうと思い目をあけると・・・・そこには


「もちろん!OKですよ!!」


と頭上で両手を輪しOKサインを全開でしながらいってきた女神さまが居た。


ほんとにまた会いに来てくれるなんて! しかも他の信者さんまでつれてきて! とウルウルしながら

俺に抱き着いてきた

俺はそれを右に半身開いてかわすと 女神さまは両手で俺に抱き着く姿勢のままトトトトトと俺の横を過ぎていった。


両手を前に突き出し抱き着こうとした姿勢のまま顔だけこちらに振り返りながら


「なんで!? 普通かわしますか!? 女神の抱擁ですよ!?」


と怒りと驚きを混ぜたように言ってきた。

なんとなくかわしてしまったなぁと思ったら


「なんとなく!? なんとなくで女神の愛の抱擁をかわしたんですか!?」


と言ってきたので あぁ ここは思ったことが女神さまに伝わるんだったなぁ と思いながら

すいません つい条件反射で と誤った。


女神は咳ばらいをゴホンと一つし身なりを整え改めてこちらを振り向き


「アマガイさん 本当にありがとうございます」


と真剣な顔で礼をいい頭を下げてきたので いえ 約束したのは俺ですし! 気にしないでください 

と少し焦り気味にいうと 女神さまは頭をあげて ありがとうございます とニコッと笑った。

あまりの綺麗さに見とれそうになったが


「あまり時間が遅くなると困るのでそろそろ像を運び出したいんですが」


といいながら女神をみると 真っ赤な顔をした女神が 綺麗すぎなんて・・・ とモジモジしていたので

ゴホンと咳払いすると はっ! といいながら元に戻り そうですね!早くこんな黴臭くて陰気な場所なんておさらばしてしまいましょう! と言ってきた。


「では!募る話はのちほどというとこで!」


と女神が言うとあたりが急にまぶしく光り 光が収まると俺は女神の像の前で拝んでいた。

時をつかさどるだけあって時間を止めてたのかな?と思ったがそれよりも早く像を運んでしまおうと思い


「女神様の許可もおりたし運ぼうか」


と皆に声をかけた リドリーは はーい といい俺からマジックバックを受け取り

他の4人が像を持ち上げリドリーが像の足からマジックバックに像を入れていった。

見た目は袋に像がまるで飲み込まれていくかのように見えたが入れ終わるとマジックバックは

ほとんど膨らむこともなくリドリーが軽々もっていてとても像が入ったとは思えない状態だった。


俺はそれを受け取り


「では7階におりてダンジョンをでよう」


と皆に伝え 前に女神さまに聞いた通り祭壇の裏に回り7階への階段をおりた。


7階に着くと目の前には誰もいないダンジョンボスの部屋があり中に入り前と同じように転移陣を起動させダンジョンの入口へと皆で転移した。


転移をおえダンジョンを出るとまだ日が西にすこし傾いていたが夕方までまだ少しかかるようだった。


「んーーーー 外はやっぱりいいねぇ!!」


とリドリーが元気よくいいながら体を伸ばしていた


「ほんとに攻略まで1日かからないなんて・・・・前回の私たちの努力は・・・」


とリオンは微妙にショックを受けていた。


「ほら さっさと門番に報告して帰るよ!私は仕事があるんだからね」


とリーネさんがいい 皆で門番に攻略して帰ってきた報告をしにいくと

ダンジョンに入るときにいた門番がこちらに気づき

ビシっと気を付けをし敬礼した後


「さすがお三方のチームですね!」


といい 身分証の確認は不要です といいながら再び敬礼してきた。

俺たちはそれに苦笑しながら礼をいい アルさんとメイちゃんが待っているので急いで街に戻ることにした。

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