39話 僕たちの魔法少女は中級魔法を手に入れた(おまけ:ステータス画面)

今回は四匹のワニを捕まえることができた。

 去年は二匹なんで上出来だろう。

 特に最後のギガントクロコダイルはやばかったし。

 リーダーの怪我にはヒヤヒヤしたけど、無事に済んでなによりだ。


 最後はサブさんが挨拶をして締めた。


「今日はありがとうございました。

 リーダーは少々怪我をいたしましたが、すぐに回復すると思いますのでご心配なく!

 本日は四体のワニを捕獲できましたので、去年よりは余裕のある一年を送れるかと思います!

 それではこれでワニ狩りを終了いたします!」


 パチパチパチ


 といっても、これからワニを村まで運ぶんですけどね。

 五メートル近いワニを運ぶのは一苦労だ。

 それも四匹だからな。

 荷台に無理やり乗せて、四班に分かれて運んだ。


 大変な仕事だと思ったけど、村人の顔はニコニコしてる。


「そりゃ~収入源だからな! 王都の物価も上がってるって聞くし収入は多いほうがええ」


 そりゃそうか。

 行きは一時間かかったが、帰りは二時間かかった。


――――


 無事帰宅したころにはもう夜だった。


「おかえりなさい」


 設楽さんは先に帰宅していた。


「ただいま」

「ただいま……タラちゃん」

「――殴るわよ」


 タハハ。そのまま夕食を始めた。


「いや~疲れましたね」

「いい運動になったな」

「今日は良く寝れそうだ。あ、そういえば一つ聞きたいんですけど、先生。」

「なんだい?」

「最後のワニの時、どうして生きてるってわかったんですか?」

「ん?」

「リーダーが襲われそうになったとき、先生の一言で助かりましたよね?」

「あ~あれか」

「どういうこと?」


 設楽さんに現場の状況を説明した。


「――というわけだ」

「ふむ」

「で、どうなんですか? 先生」

「ん~、勘に近いんだけどな」

「勘……ですか?」

「最近だけど、勘が鋭くなってきてる。

 なんとなく、動物が近くにいるとか、人が近づいてくるとかわかるようになってきててね~」


 おぉ、秘められた力の解放か!?


「『探知』ね」

「まぁそうだろうな」


 二人は納得してる。いや俺は全然わからないんだけど。


「ど、どういうこと?」

「魔法陣が無くても『探知』を出来るようになってきているんだろう」

「忘れたの? 魔法の発動方法」

「え~っと、魔法陣と」

「はぁ……魔法陣に魔力を流すか、修練し習得するのよ」


 つ、冷たい目で見られてる。いやいやそんなことイチイチ覚えとらんですよ。


「じゃ、じゃぁつまり、『探知』を習得したってことですか?」

「ん~習得とは言えないんじゃないかな。魔法人無しで『探知』魔法を発動できるわけじゃない」

「おそらく、頻繁に使用したからでしょうね」

「そうだね、『探知』魔法が漏れ出してる感じだな」

「へぇ~」


 ゲームでも同じスキルを使い続けていると、

 道具が無くても使えるようになったり、上位スキルを習得できたりするからな。

 ん~、『着火』ももっと使うべきだったかなぁ。

 でもあれ疲れるんだよねぇ……。


「ついでだから、報告しておきましょうか」

「「ん?」」

「魔法の研究成果よ」

「おお~」

「そりゃ興味があるな」

「王都で情報収集してからでもよかったんだけど。

 あ、赤井さんには温泉に行くときに話した内容よ。続きがあるけど」

「あぁ、ライトニングボールか」

「なによそれ」

「え、あぁ光る玉です」

「ならライティングボールでしょ」

「ま、まぁそうですね」


 どっちでもええがな。


「復習ついでにもう一度話すわね」

「お願いするよ」


 前回と同様に体から離れた場所で『発光』を行う。

 魔力で繋げれば遠隔地点でも魔法は使える。


「遠隔発動が可能になれば、『探知』とは非常に相性がいいと思うわ」

「というと?」

「例えば、『探知』して獲物が近寄った際に何か罠を発動させるとか」

「なるほどね」

「ただ、魔法の干渉力は低いから起点になるようなことしかできない」

「そうだね…ただ『衝破』が遠隔で発動できれば…」

「『衝破』も遠隔発動は難しいと思うわ、そこそこ魔力使ってるように見えたし」

「まぁ~たしかになぁ」


 二人の魔法談義についていくのがやっとだ。

 優秀な奴らはすごいぜ。


「まぁ、ここまでは前回の復習よ」

「なかなか有意義な講義だったよ」


 設楽さんは一つ咳ばらいをした。


「さて、ここからが本番」

「お、まだあるんですね! 設楽先生!」


 ジト目で見られた。ノリはまだよくならないな。いいけど。


「ふん! 魔法陣に関してよ」


 少女の眼は輝いていた。


「魔法陣か」

「そうよ、考察対象が3つしかないのが残念だけど」


 俺たちの魔法陣ね。


「まずはそうね『治癒』のパワーアップに成功したわ」

「へ?」


 魔法陣の話じゃないのか??唐突過ぎるぜ。


「本当はまだ使いたくなかったんだけど、今日シマーさんが大怪我だったから使ったわ」

「あ~そういやリーダーかなり驚いてたな」

「通常の『治癒』は傷を治すぐらいなの。なんか血行不良とかも治せるっぽいけど」


 さすがタラちゃん、とは言わないでおいた。


「おそらく『治癒』は、肉体再生の促進と細胞の活性化を促す効果だと思うわ」


 ポカン


「ポカンとしてるから例えると、切り傷なら治せるけど、切断された足は復活しないということよ。

 自然治癒の延長線上なのよ。」


「なるほどね、それだとあれだな。

 切断された指を『治癒』でくっつけることは出来るかもしれないけど、

 無くなった指を生やすことはできないってことかな?」

「そうね、さすがにそれは実験してないけど」


 さらっと怖いこと言うわ~、マッドサイエンティストかよ。


「まぁ、その『治癒』を、そうね『再生』までレベルアップする方法なんだけど」


 いいね、ヒーリング⇒リカバーってとこか。


「どうすればいいと思う?」

「む」


 質問形式か! これは新しい流れだ。


「はい! 先生!」

「……アカイ君」


 指を差された。


「魔法陣に流す魔法力を増やせばいいと思います!」

「どうやって?」

「え? こう~気合かな?」

「アカイ君、それは無理だったよ。」

「そうなんですか?」

「『探知』も範囲を拡げれないか試したことがある。

 ただどれだけ踏ん張っても無理だった」


 パチン! 突然指を鳴らした。


「そこなんです!」

「へ」

「魔法陣はひとつ欠点があります! 魔力の調整が出来ないんです!!」


 やばい、暴走モードに入ってしまう。てかノリノリだな教師キャラ。


「魔法陣は外輪があり、その内側に紋様があります」


 設楽さんは手の平の魔法陣をこちらに向けた。


「おそらく外輪のサイズにより発動に必要な魔法力が変わります」


ふむふむ


「私の魔法陣に比べアカイさんの外輪は1,5倍はあります。

 つまり円周なのでほぼ二倍必要になります。

 まぁ、厚みもあるので、おそらく4倍近く必要ではないかと考えられます」


 ふむふむ、そりゃ大変。


「ただ、逆に魔法陣に発動条件以上の魔力を注入しても意味がありません。

 おそらく外輪が必要以上の魔力吸収しないような仕組みなのかと」


 フムフム……


「なので魔法陣を使う場合、魔法のレベルアップや変更はできません。

 ただし!! ここからが重要です!」


 むふむふ


「発動状態にある魔法陣外輪に対して、直接別の手から魔力を注ぎ込みます!」


 む! ブーストか!? かっこいいな!


 『治癒』発動状態にある左手の甲を右手が覆った。

 右手の指から外輪に魔力を注入してるようだ。


「この状態なら『治癒』のレベルを任意にあげることが可能です!

 おそらく『探知』もこれで索敵範囲が拡がるはずです、ハァハァ」


 ちょっとお疲れの様子だ。


「あ~でも、そもそも『探知』って両手使うよね」

「……あ」


 これにて魔法談義は終わった。ちゃんちゃん


――――


 ステータス

  名前:赤井秀介

  種族:人

  称号:異世界に来た男性

  魔法:『着火』『発光』

  スキル:交渉力Lv3 コミュニケーション力Lv3 動物使いLv1 料理Lv2


 ステータス

  名前:設楽蒼

  種族:人

  称号:異世界に来た女性・魔法少女・癒し係

  魔法:『治癒』『再生』『発光』

  スキル:コミュニケーション力Lv0 『発光』操作Lv2


 ステータス

  名前:金子太一

  種族:人

  称号:異世界に来た男性・体育会系

  魔法:『探知』『発光』

  スキル:体力Lv3 パッシブスキル『警戒』

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