Auf:influence | 3rd works

オルタネイト

「ねえねえ」

「なんでしょうリィンお嬢様」

 私たちは旅の道を間違えてしまったために長い長い坂を引き返している。本来ならとうに目的地に着いていて、問題のオルタネイトの子をたずねている頃だったろう。

「コルネットは勝手にオルタオルタって言ってるけど、どうしてそう呼んでるの?」

「あれ、話してなかったんだっけ」

「うん」

 ええと、と丁寧に説明するよう一拍置いた。


「私がオルタとかオルタネイトって呼んでる子達は変な力を持ってたり、他と違う見た目をしてるのは分かるよね。リィンもオルタネイトだし」

「うん」

「で、私はその子らが忌み子とか、神忘れって呼ばれてるのがいやだったの。普通じゃないからって差別されてね」

「コルネットおとくいのオヒトヨシだ」

「まあね。それを文字に例えたんだよ。普通の文字あるでしょ?ゴシップなんかにびっしりと並んでる文字」

「読みたくないやつね」

「でもたまにさ、変な形の文字ってあるの分かるかな。普通の形じゃなくて、読みづらくて、しかも不恰好だったりしてる文字。それがオルタネイト文字っていうからなんだよね」

 へー、と。それだけのはなし。

 私はその不恰好な文字が好きだ。

 読みづらく、不親切だし存在しなくてもいい文字だけど。長い長い文章のどこかに少しぐらい不恰好があったほうが洒落てるじゃないか。そう思うんだ。

 だから敬意をもってオルタネイトなんて、それこそ不恰好な呼び方をしているのだ。


まったく同じものなど、どこにあろうか。

ちがうことを褒めることだ。

ちがうことを誇ることだ。

それだけで私でいられる。




Auf:influence | 2017.02.01 - 04.10

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