Auf:

耳ふさぎ

Auf:haptik | 1st works

ミチビクタニ

 二人は切らした薬の補填のため、かわいた谷を歩いていた。欲していた草木は豊かに茂っていて、蓄えの分まで調達しても二日とかからなかった。

 ふもとへ降りようと歩き出したところで谷底に子供の姿が見えた。


 谷底へ降りてみると子供達は小さな玉状の植物を採取していた。聞くとペヨッテという幻覚作用のある草だという。興味をもったコルネットらは子供達に村へと案内してもらった。

 その途中、気になったことがある。子供らは例外なく痛々しい痣があった。


 その村ではペヨッテを喰い、幻覚に浸ることを娯楽としていた。

 ペヨッテ自体がとても希少なため均衡が保たれているそうだ。また、服用できるのは成人した良識のある者だけらしい。


 手持ちの万病薬と引き換えに少量のペヨッテをもらった。

 ペヨッテを服用すると幻覚に満たされた。それでいて副作用がないらしい。ふつう、麻薬の類には副作用がすこしばかりあるはずなのだが、世の中おもしろいものがあるものだ。

 幻覚に浸ったコルネットが見たのはペヨッテがたくさん群生している谷底だった。慣れっこなもので、どこにあるのか地図を書けるというと、村人は地図と引き換えに宴をふるまった。


 翌日。村人らが渇いた谷底にペヨッテが群生しているのを見つけると狂ったようにそれを喰った。

 火を入れて煙を吸うもの、果肉をすすり貪る者、自分の手首を嬉々として齧る者など。その一帯のペヨッテはすぐさま枯れ果ててしまった。

 村はその日のうちに壊滅の状態となった。


 取り残された子供らは生きる術もなく、喰いかけのペヨッテを喰らい、また家族に会いに行くのだった。


「コルネット、どこまで見えてたの」

「もちろん。ここまで、しっかりとね」




Auf:haptik | 2016.07.18 - 10.15

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