#45
美木本は扉の向こうが静まり返ったことに怯えていた。
雇った男たちは腕っぷしに自信があったはずだと美木本は思っていたからだ。
クロウがいくら強くてもあの男たちが5人もいれば何とかなるとも感じていたからだ。
『始末したのか・・?』
美木本は扉に片耳を当て静まり返った廊下を伺っていた。
その瞬間!扉がぶち破られ、外れた扉ごと美木本が吹っ飛んだ。
『ひい!!』
美木本が顔を上げると、そこには黒いマスク、黒いスカーフ、黒い戦闘スーツを身に纏った男の姿がいた。
『ク・・ク・・クロウ・・』
楓は美木本の首を右腕で掴むと壁に押し当てた。
【SCARと何を企んでいる!!】
『なんのことだ!?』
【お前がSCARと繋がっていることは既に知っている、とぼけても無駄だ】
『だから・・あの時始末してれば良かったんだ・・』
【T-ロックとの関係は何だ】
『T-ロックは俺が総力を挙げて作ったシステムだ・・』
【国に売りつける気だったんだろ】
『やはりお前がPCのデータを盗んがのか』
【SCARが絡んでいる物を国には売れない】
『あのシステムは、津波災害からT都を守る画期的なシステムだ。
しかし、国はT-ロックの導入には難色を示した』
楓は首を掴んだまま美木本の話を聞いている。
『だから・・・T-ロックの必要性を示さないといけないだろ』
【まさか・・】
『人工的に津波を起こす事にしたんだよ、それをSCARに頼んだ。
爆弾をうちが提供し、SCARが実行する』
【その津波での犠牲者はどうなる】
『T-ロックは多くの人々を救える、未来の為には犠牲は付き物だ』
【狂ってる・・】
『しかし、そんな話をどこの誰だか分からないカラス野郎が話した所で誰が信じるかな?』
美木本は笑みを浮かべながら言い放った。
楓は美木本を床に叩きつけると消えて行った。
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