#26

 メトロポリタンテレビ



 近年は絶好調であり、5年連続視聴率3冠王に輝いている東京都内にある

 テレビ局である。しかしそのメトロポリタンテレビの唯一の弱点となっていいるのが報道部だった。

 バラエティ、ドラマの制作に定評のある局であり3冠王が獲れたのもその2大コンテンツ大きな力が成し遂げたと言っても過言ではない。



 翌日、斎藤は出社するや否や報道局長のところへ向かった。


 斎藤は現在、夜のニュース番組に出演している。

 メインキャスターへの道はまだまだ厳しく、斎藤はただ原稿を読むだけだった。

 そんな斎藤はここで勝負に出ようとしている。



 ”第9地区”で起こっている本当のことを報じるのだ。



『局長!第9地区の一連の検挙は警察がやったことではありません!』

『何を突然言い出してるんだ』局長は唖然としていた。

『ここ最近のSCAR一味の検挙は謎の黒ずくめの人物によるものです』

 局長はまだ斎藤の言っていることに理解できない様で斎藤を見つめたまま何も言わずにいた。

『・・・局長?』斎藤はそんな局長を不思議に感じ声をかけた。

『海外ドラマの見過ぎだろう、このご時世そんなヒーローみたいな話あるか』

『本当なんです!私昨日この目で見たんです!第9地区に行って』

『お前、第9地区に行ったのか?』

『九十九警察は第9地区を見放しているのが現状です、なのにここにきて2件もSCAR絡みの検挙を行っているのに違和感を感じませんか?』

『だからって1人で第9地区に行くとは・・』

『私は真実の報道がしたいんです』

『・・・・わかった、今日が月曜日だ、週末金曜日までにまとめてこい。内容が良ければ10分やる』

『ありがとうございます!』斎藤は深々と頭を下げると足早に取材に出ようとした。

『あー、ただし!もう絶対第9地区には1人で行くなよ!誰か男のスタッフを必ず連れて行くように!』

『わかりました! 丸!行くわよ!』

 丸と呼ばれた男は斎藤といつも取材で一緒のカメラマン丸山英明(まるやま・ひであき)である。

 すこしぽっちゃっとした体格でとても力強そうには見えない男である。



 局長は頭を抱えながら、半ば諦めがちに天井を見上げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る