#19
夜の“第9地区”路地裏では2人の男が1人にの男にあるものを渡していた。
『サンキュー』1人の男はお金を二人組の男に渡して何が入っているであろう紙袋を受け取る。
≪クスリ≫だ。
『次はいつ入るんだ?』
『さーな、俺達にも分らない』
『入ったらすぐに連絡くれよ』と言うと男はその場を去っていった。
取引が終わり引き上げようとした時、2人の男の内の1人がなにやら不穏な動きを感じた。
『おい・・なにかいるぞ・・』
『何言ってんだ夜のナインゲートを誰が歩くんだよ』
『そうだな・・』
『帰るぞ』
2人が歩きだそうとした時、物音がした。≪カサカサ≫
『やっぱ何かいるって!』
『ああ、確かに何か聞こえたな』もう1人の男もようやく何やらおかしいと感じ取ったのか辺りを警戒した。
≪カサカサ!カサカサ!≫物音が素早く動いている様子を物語っている。
二人組の男達に緊張が走る。
『誰だ!誰だいるのか!』
『俺達を誰だか知ってるのか!!逆らったら容赦ないぞ!』
1人の男が路地裏の角に背を当てながら不安を紛らわす様に怒鳴っていた。その時、角の後ろから黒い手だ伸び男のこめかみをつかんだ。
『!!!』
【SCARだろ】しゃがれた声だがそれは地声ではなく機械音声で発せられた声だった。
【SCARのボスは誰だ!】
『!!誰だ・・お前は・・?』
【お前に名乗る必要はない】
【ボスは誰だ!】
『知らない・・会った事はない』
するともう1人の男が現れた。
『なんだ!お前は!』
【だから名乗る必要はない。お前たちのボスは誰だ、答えろ】
すると後から来た男は持っていたナイフをかざし黒ずくめの人物に襲いかかってきた。
ナイフを大きく振りかざすと黒ずくめの人物の右腕目掛けて振り下ろした。キーンとした金属音と共に振り下ろしたナイフが折れた。
『なんだ・・確かに腕を狙ったはずなのに・・』
男は目を凝らして黒ずくめの人物の方を見た、黒ずくめの人物は左手だけで男のこめかみを押さえながら右手を上にかざした状態で立っていた。
ナイフは腕の肘まで覆っている手袋状の防具によって折られたようである。
黒ずくめの人物が尚も続ける【お前たちのボスは誰だ】
『しらねェーっつってんだろ!!』男は黒ずくめの人物に襲いかかってきた。
黒ずくめの人物はこめかみを掴んでいた手を放し襲ってきた男に向かっていく。
右ストレートを交わすとその腕を掴み柔道の1本背負いの勢いで男をなぎ倒した。
『うわ。。』男は痛みから悶える。
黒ずくめの人物は寝転がる男の胸倉を掴み改めて聞いた【SCARのボスは誰だ!どこにいる】
『本当に知らないんだって!俺達は下っ端だから・・ただヤクをサバけって命令されただけだ!』
【その指示はどこで受ける】
『ナインゲートにあるクラブだよ・・』
【なんて言うクラブだ】
『“へヴン”だ・・そこのマスターにいつも支持を受けている・・あそこにいる客はほとんどSCARの息がかかった奴らだ・・』
この男達は本当にこれ以上情報を持っていないと察したのか黒ずくめの男は掴んでいた胸倉を放し、立ち上がり右腕を横に伸ばした。
左手で右腕の防具についてあるボタンを押すと右手首からワイヤーが飛び出した。
こめかみをつかまれていた男が逃げだそうと走り出していたが、そのワイヤーが男の背中に貼りつき逃げ出せなくさせていた。
黒ずくめの人物はもう1度右腕のボタンを押すと今度は伸びたワイヤーが戻りだした。
逃げ出した男は一瞬にして黒ずくめの人物の所まで戻される格好になった。
黒ずくめの人物はもう1度リールを出すと2人の男を縛りあげ引きずり出す。
『・・どこ行くんだよ・・殺すのか??』
『勘弁してくれよ・・』
【殺しはやらない 悪は法で裁く】
路地裏から出てくると月明かりが射しこみ黒ずくめの人物の風貌が見えだした。
黒ずくめの人物は体にフィットした黒いボディスーツをまとい胸には防具らしきもを着けており、腰回りにはこん棒を2本指したベルトを巻いていた。
首には大きめの黒いストールみたいな物を巻いており、両腕には防具兼手袋をはめ、足元にも黒いブーツを履いているといった風貌だった。
肝心の顔は顎から鼻まで覆い隠した黒いプラスチック製のマスクをはめていた為、男達にはその人物が誰なのか確認はできなかった。
月明かりで空き家となっている店舗のガラス戸に"ファイター"としての自分の姿が映し出されている。
【やり過ぎたか】
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