……
「ハイ、そろそろ現実の話でもしましょうか」
「……。」
「ここまで読んでくださった皆様。途中から彼女、マーニャ=クロイツェフの回想に違和感を持たれた方もいらっしゃったのではないでしょうか。」
「……。」
「彼女は人間に例えれば……。そういえば人間でしたね、彼女は人間です。訂正いたします。
そう、年齢としては繁殖期に入る段階であるため、彼女の脳は少々現実を飛躍的に捉える傾向にあります。
所謂、頭の中が開花した植物の苗床として機能しているわけです。」
「…………。」
「そんな彼女が過去を振り返れば、当時の状況を正確に記憶しているわけがありません。
皆様には過剰な表現、とりわけ最後の私と彼女の邂逅部分では、私という存在をうまく処理できなかった彼女のお粗末な断片的情報により精神的苦痛を受けた方もいらっしゃるかと。彼女に代わり謝罪させていただきます。
大変申し訳ありませんでした。」
「…………。……ッ」
「さて、寛大な皆様には私の精一杯の反省を受け取っていただいたということで、私からはその後の顛末について語っていきたいと思います。
マーニャ=クロイツェフと私は主従関係となり、彼女の居住する街で共に冒険者稼業に勤しむこととなりました。
しかし、ダンジョンで彼女と行動を共にするうちに、気付けば深層域を開拓する『先駆者』と呼ばれる階位に名を連ねることとなったのです。私が。」
「〜〜!〜〜〜ッッ!」
「指名されては致し方ありません。ランクを越してしまった安宿泊まりの彼女には悪いですが、深層域での仕事は身入りが良いですからね。『ブラック』プレートの冒険者としてこれからも活動させてもらいます。ああ、それと彼女は今現在……。」
「〜〜!!〜〜〜……ッ!!」
「……何か壮絶な顔で訴えかけているようですが、防音壁のお陰で何も伝わってこないですね。我ながら素晴らしい出来栄えだと判断します。それよりも、そんな顔を披露してしまっては日頃から仰られている将来の素敵な伴侶など夢のまた夢ではないですか?
……分かりましたワカリマシタ。何か言いたいことがあると。それでは、どうぞ」
「ン……ッ!?こ、この……ッッ!!
い、言いたいことはいろいろあるけど!まず聞きたいのは、
なんで私メイド服フル装備してんのってことよ!!?しかもスカート丈がおかしなことになってるし!!」
「え、短い方が喜ぶんだろ?」
「誰がよ!?真顔で返すな!!」
……主従関係というのは、『主人を従える関係』ではないと思うのです……。
君はゴーレム @sinonono
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。君はゴーレムの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます