🐈1ぶんの4🐈

えいぷりるふーる

「隊長」


「何だ、三郎?」


「4月1日はえいぷりるふーるなんだそうです」


「「えいぷりるふーるぅ?」」


「三郎さん、それ、さきいかよりもおいしいの?」

「美味いのか?」


「小太郎、隊長。えいぷりるふーるは食べられません」


「なんだ、つまんなーい」

「食えんのなら興味ないな」


「えいぷりるふーるは恒例行事なんですよ」


「「ぴくにっくみたいな!?」」🎵🎵


「いえ。そういうものでもないです」


「どんなのなんだ?」

「おもしろい?」


「そうですねえ。例えば……」




「私、結婚するんですよ」


「「えっ」」


「っていう、う……」


「あの桃色のやつとか!」

「わあっ。三郎さんおめでとー!!」


「いえ、あの。嘘ですよ?」


「そうかー。三郎もついに結婚か!」

「いいなー。およめさんー」

「嫁って言っても、綿埃みたいなやつだぞ?」

「かわいいじゃないですかぁ。いっつもべったりで。ときどきピンクになってるし」

「まあ、そうだな。いつもイチャイチャしてるな」

「ですよねー」

「そう考えれば、結婚なんて今更だな!」

「ほんとだー。あははは」

「はははははっ」


「あの、聞いてます? 嘘ですよ?」


「……❤」


「桃まで!? う、嘘ですから」


「……!」


「! っや。ちがっ……」


「……」


「嫌とかそういう訳じゃ……」


「……」


「怒らないでください。桃はピンクの方が可愛いですよ」


「……」


「今のは嘘じゃないですって。えいぷりるふーるは罪のない嘘を吐いてもいい日で、嘘しか話さない日じゃないですよ?」


「……」


「……ごめんなさい。もうしません」





聞いた話と違って、えいぷりるふーるってちっとも面白くない。と、三郎は思ったとか。

一方こちらは……




「面白かったな!」


「うん!」


「まさか三郎が尻に敷かれてるとはなぁ」


「ほんとにー」


「「えいぷりるふーる、最高ー!」」




エイプリルフールの何たるかも知らぬまま、イベントを大いに楽しんだのでした☆


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このひと、異世界に飛ばされて来たのに全然気づいていません。 早瀬翠風 @hayase-sui

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