縄張りを見回る途中で蜜柑の木に立ち寄った。

幸太郎に食わせてやった蜜柑は、ヒヨドリたちに喰い尽くされてもう残っていない。

代わりに、可憐な白い花が揺れている。

あれ以来、あいつはこちらに来ていない。

食い物がないのだから仕方がない、と思っていたが、ぴくにっくにすれば好いではないか！　と思い至った。

夜は好きな罠の木で休めば好い。

開けられるようになって以来群れの連中が塒にしているが、全てが埋まっている訳ではない。

何なら舞衣も連れて来れば好いのだ。

舞衣は幸太郎以上に猫好きだ。

きっと喜ぶ。

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