第120.9話「死の国へ5」

「へっ陛下! なぜこのようなところに?」

「だよねー、こう言う反応だよねー。俺、普通に偉い人なのよ?」

「魔王様、余計なこと喋り続けると……」

「喋り続けると?(ゴクリ)」

 私がパチリと指を鳴らす(鳴りませんでした)と勝さん1号が前に出る。


「アリリィ殿への資材提供候補リストです」

「……」

 ジッと紙を見つめる魔王様。

 切なそうに顔をあげる。


「(ニッコリ)」

「(ゲンナリ)」

 微笑みあう私と魔王様。幼児と権力者の微笑ましい一幕です。


「……微笑んでいるのはマイルズ、君だk「リィおねーちゃんに研究資材を」誠に申し訳ございません」

 笑顔です。さぁ、まおー様も。

 などとやり取りをしていると周囲が引いていきます。

 魔王国、大陸中央に食い込む様に伸びている東部は人種のるつぼです。

 強者は魔族。弱者は人間が亜人と呼んで蔑むゴーレム族、ゴブリン族、オーク族、奇面族。そして人類種扱いされないのが人間族になります。

 理由は諸説ありますが、魔王都で読んだ絵本に『人類の裏切り者』として人間が登場します。無論、その絵本では【魔物に共に立ち向かった人間】も登場しますが、悪感情は免れません。

 途中の馬車の旅でも、魔王国内では人間が良い職につけている印象はありませんでした。ですので辺境伯の私への態度は、いっそ穏当な態度とも言えます。

 ですが……。

 私はその様な伝統に従うつもりもありません。

 そして、それを逆手にとってこの状況です。


「いっそ、どこか東部の都市を消し飛ばし……」

「やめて! ほんと! 辺境伯に何させてもいいから! それだけはやめて!」

 幼児を抱え上げて涙目の魔王様の様子に、周囲はざわめきだつ。

 でしょうね。尊敬する最強の魔王が、交渉ごとで【まさか、人間の幼女】に力を背景に押されている。

 異常事態である。

 私と勝さん1号は、ざわめきを満足げに見回すと、手を叩き彼らを呼び込んだ。


カクヨム+α

鱈「どうもぐう鱈です。8/30再会をうたっておいて、これです。これしか更新しませんでした。……仕方ないんや! イニエスタみにドームに行かなあかんねん! 執筆予定の時間で熱だして臥せってたや! 」

マ「ここでおみせしましょうマイルズ2.0!」

鱈「やめて! それもっとあとだから! こんな辺境コーナーでやめて!」

変態「では、今私が行っている業務の詳細を」

鱈「うがーーーー! ということでまた近いうちにお会いしましょう!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る