6章:突撃!隣の獣王飯

第100話「獣王様の食卓」

 まーちゃん共和国での数週間……、大儲けでした。

 主に勝さん一号が……。

 そりゃさモンスターに骨とか魔石とか牙とかはまだ復旧のさなかにある共和国では需要はないですが……。

 まぁ、そう言うわけでかなり安い価格で買いたたていました(勝さん一号が)。

 代わりに各村に他国で安く購入した小麦を配って歩いていたようで。

 その村々で何を吹き込んでいったか恐ろしいのですが……。

 ……私?私ですか?

 水田開拓のお手伝いを村々に残る文献をもとにドバーとやってガーッとね。

 行く先々で銅像作ろうとか耳にした覚えがありますが空耳なのでしょう……。

 疲れているようです。やれやれだぜ。


「もう、帰られるのですか」

 あからさまにホッとした様子のタウさんです。


「まーちゃん様、そのご尊顔を見れなくなるとは……」

 議長じゃなく首相が涙しています。

 ……でもこの人、首都に私を抱いた【自分の】……重要なのでもう一度いいます。【自分の銅像を建てた】人です。

 銅像立てたければピンでやって!

 いつの間にコンビになったのでしょうか私達……。

 そして色々なお土産を持たせようとする。

 いえ、あのね。無駄に金ぴかとかにしないでいただけないですがね……。

 それ、頂いて帰るわけにはいきません……。コンプライアンス的に問題なのです……。どう上司(祖母)に同報告しろと……。

 というわけで、折角用意していただいたお土産を受け取り拒否にするのもあれなので、頑張ってる人々を表彰する事にしました。つまり表彰の場を設けてもらって配りました。もちろん副賞として私からも表彰メダルを授与しました。メダルを送るときは長野五輪のあの美しいメダルを作ろうと必死に頑張りました。結果、ものすごいクオリティでできてしまった。これに漆技術があるととんでもないことになりそうです。……あれ、第1回?……って、これ毎年私がやらないといけないお祭りですか?


「第1回ご苦労さまでした」

 タウさんの笑顔が【確定です】と語っていました。


「今日のご飯は凄い豪華なのです………」

「うちのカフェで出す試作料理だ」

 我が家にもいつの間にか勝さん一号の居場所ができてしまった。


「さすが師匠2号!」

 ザン兄がなついてしまった。料理男子侮りがたし。


「ザンバ君には放送で頑張ってほしいからね」

 笑顔の勝さん一号。ミリ姉アイドル化計画は順調の様ですがザン兄も何かするようであれば許しませんよ。……むっ! こっこれは! かまぼこ!!

 

「いとし子よ気付いたか……我が家の秘伝料理かまぼこだ」

「獣王都で流行らせましょう……」

「ふふふ、そう言うと思って生産ラインを用意してある……仕入れを含めて肉屋とのコネクションをフル活用してな……」

 何なのでしょうかこの変態王子と勝さんが同じ方向を見ています。

 頼もしいのですが、変態王子と同じ思考と言うのがいただけません。


「マイルズ、明日は獣王様の所に戻るわよ」

 ……祖母よ。もう獣王都ですることは無いと思うのですよ。


「マイルズよ。お前の祝言があるではないか、ハハハハハ」

 祖父よ。そこは助けてくれないのですね。


「親父、やはりマイルズには早い。マイルズは貴族じゃないんだ。好きな人を見つけて幸せな結婚をしてほしい! ……そう、俺の様に!」

 そう言って白い歯を輝かせる父こと竜殺しさん。

 「なっ」と母に同意を求めると母も「まったくもう」と言いつつまんざらでもない様子です。ん?自慢?私に対する助け舟ではないですよね?


「ホーネスト様。かわいらしい方じゃない。何が不満なのよ」

「ミリ姉、私3歳ですよ……」

「僕3歳でキアノちゃんと こんやく したよ?」

 そっと祖父を見ます。視線をそらしました。

 そっと祖母を見ます。笑顔で返されました。

 父と母はいちゃついております。

 皆さんご存知ないのでしょうけども、キアノ・ズ・アルキア6歳。

 この国の第一王女です。 

 賢者の孫ってことでねじ込んだそうですが、この人たちは悪気もなく……。


「そもそも獣人族は転生での種の保存をしているのではなかったのですか?」

「うむ。だからより強いオスを求めるらしいのだ。お眼鏡にかかってよかったのうマイルズ」

「愛人は2人まで許可だそうよ。寛容ねマイルズ」

 祖父と祖母の目が怖いです。

 ああ、確かに私が婿に入ればグルンド南部は安定するでしょうね。


「そこは、頑張りなさい。食の聖女」

 みっミリ姉。貴方何処でそれを……。


「そこで、私が愛人一号だな」

 満足げな変態王子……この変態を獣王都に派遣したのが間違いだった。

 何で釣られたのか不明ですが…………。


「わん!」

 いつの間にうちで飼ってる犬がミリ姉にすり寄ってきました。


「ジョセフィーヌ、もうちょっと待っていなさい」

 ミリ姉にそう言われると白い犬は嬉しそうに(*´Д`)ハァハァしています。

 なんとなく嫌悪感です。


「その子は?」

「うちのまえでひろったの」

 バン兄さんが嬉しそうに言います。残り物をこの犬用のお皿に乗せて前に置き。


「待て」

 犬は待ちます。賢いようですが目が気持ち悪いです。


「お手」

 お手をします。更に目が……。


「勝さん一号………」

「ああ、魔術で作られた分身体だ」

「ではなぜ?」

「すっかり犬化して無害だからだ」

 あ、そうですかドMの人がベースになったので【犬扱い=ご褒美】なのですね……。

 見なかったことにしましょう。

 結局婚約することになり。私は翌日獣王都に売られていきました。

 断固抗議したい。

 国際人権団体とか。

 国際子ども権利とかなんとか無駄にお金使って保護している団体たちは息をしていないのでしょうか!

 ……あ、そもそもないか。あっても消されるな、この面子に歯向かったら……。

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