第99話「ダンジョン攻略と帰宅難民のダンジョンマスター6」
「はーい、運送屋さんご苦労なのです!」
「……なぁ、マイルズ。あの人うちのカフェにスカウトしていい?」
勝さん1号はクレイマン遊撃部隊の隊長クレイマンさんを差して馬鹿なことを言います。
「いや、儲かるって! 意思の疎通が可能なモフモフカフェ! 俺だったら入り浸るよ!」
……知ってますか? 120匹近くいるのですよクレイマン遊撃部隊。
「……あ」
「あ、じゃありませんよ、まったく……やるなら文字を覚えさせて数匹の派遣でいいじゃないですか……文字を学ぶのだってクレイマン遊撃部隊を村に派遣して護衛兼勉学講師でモフモフ学園!」
お金の臭いがします。
「ありだな」
「ありですね」
「ありだけど、あんたら絡むのは無しだな。あとこのことはタウさんにつないでおく」
マモルンがいつの間にか会話に混ざっています。
油断も隙も無い子です。
「ふっ、だがモフモフ学園が成れば、我がカフェに臨時職員として雇えるというもの!」
勝さん1号……ちょっと同一存在として恥ずかしいです。
そんなにケモラーでしたっけ?
確かに犬を飼うのが念願でしたけど……。
前嫁が犬アレルギーとか言ってかえなかったけど機会があれば……でしたね。
「まーちゃん様。ほどほどにしていただけるとありがたい」
「わかりました。もちろん自重と言う言葉に関して右に出るものがいないまーちゃんなのです。任せていただきたいのです。」
「不安が募る……」
お腹を押さえるクレイマンさん。
まーちゃんこれでも国主なのですよ?
イケメンだからとなんでも許されるとお思いなのでしょか?
失礼な。
「そういえばクレイマンさんはフランソワーズさんとお会いになりましたか?」
「……」
すっと視線を逸らすクレイマンさん。やれやれ、おじさん(3歳)が一肌脱ぎましょうかね。
「召喚魔法! マリブさん! ……あーもしもし、召喚しても大丈夫ですか? ……ええ、ほうほう。いえ、エロいハプニングは需要無いので結構です。はい。はい。ふむふむ、じゃ遠慮なく!」
地面に魔法陣が広がりそこにエロフのエルフさんが現れる。
「変身魔法リッチ☆マリブ♪ お呼びに従い推参!」
ステッキを振り上げたまま回転し、片足立ちで止まる。そしてステッキを前面に押し出してウィンク。
(^_-)-☆
「見事です。今度兵装にビーム兵器追加してあげます」
「やったー! さすがまーちゃん様」
はしゃぐマリブさん。可愛いですが65歳です。
「なんか、場違い感が半端ない」
美少女戦士マモルン(♂)が呟きますがスルーの方向で。
「で、なんで呼んだの? 私羊羹食べるので忙しかったのに……」
「なぜそれを私にもくれないのかは置いておきます。フランソワーズさんをクレイマン遊撃部隊に組み込む策があります。乗りますか?」
『ええー』とか言って止めようとするクレイマンさんを(権三郎に羽交い絞めにしてもらい)無視します。
まぁまぁ、ここは年長者に任せるといいのです(ニヤニヤ)。
「おお! きた! まーちゃん様の神アイディア?」
「そこのケモラーの人のアイディアでクレイマン遊撃部隊によるモフモフ移動学園プランです」
「ケモラーではないが発案者だ。場所を移し少しタウ殿を含めて話をしよう」
そういってマリブさんと勝さん1号は転移で去ってゆきました。
「あれ? 私の問題なのに私の意思がない……」
「ひきこもりに人権はないのです。正しく生きている幼児もたまに人権を奪われるのです。世知辛い世の中なのです……」
「いや、マイルズ。いい話の様にしようとしてるけどなんか違うから……」
その後クレイマンさんとその配下たちに浅層を狩る手順を教えて、その場に配置されていた案山子を攻略部隊に向けました。その説明中たまに、クレイマンさんがマモルンに熱い視線を送っていました。危ないです、その子に色目を使うと悪魔より怖い子に粘着されますよ……。逃げてクレイマンさん! まーちゃんの力では助けることができない……ふがいない私を許してください! ……許さないでもいいので被害はそちらで…。
「では、私達も攻略を再開しましょう」
「あれ?どこ行く?ダンジョンの入り口はこっちだぞ?」
搬出用エレベータに向かう私をマモルンが止めますが…マモルン…また45階層も階段をおりたいのですか?
そう、昨日の攻略は私たちがかかわったところで38階層。深夜案山子が攻略したところで45階層です。
ただただ階段を下りるのでもしんどい階層なのです。幼児としてはお断りです。
「エレベータでおります」
「でもそれ、乗ってると止まるんじゃ?」
「それは持ち上げの方だけですこちら側の穴は乗れますよ」
センサーはあちら側だけなのです。
なんとなく納得のいかない様子のマモルンを何とか載せて降ります。案山子たちには移動中は発出用エラーベータに乗せない様にお願いしてスムーズに移動します。
最下層100階層に来て横移動。
「なぁ、ここで降りたら即コア潰せるよね?」
そこに気付きますか! 天才ですね!!
「誰でも気づくわ!」
するどい、さすがマモルン。
「ねえ、ツッコミ要員を呼ぼうよ。俺もう疲れたよ……」
「パトラッシュ(ボソ」
こっそり付け加えたらこめかみをぐりぐりされました。幼児虐待です。
「マモルン。すぐにコアを破壊しないのは高尚な理由があるのです…」
「思わせぶりだが、目が完全に『¥』マークなんだが。高尚と言うか下賤だよね?」
ぬ! これだから現代っ子は……しょうがない大人の務めです。諭してあげましょう。
「マモルン。日本最強の妖怪を知っていますか? その妖怪の力は数千万と言う人々を恐怖と苦悩に陥れた存在! その存在がこちらの世界でも目覚めようとしているのです……。いわば世界的な危機にあるのです! その為にも我々は……」
「マジか……そんな化け物が……………………………………………………………あー、読めた。」
なんか失礼なこと言われました。
「その妖怪の名は……くっ、いえない恐ろしすぎて声にも出せない……」
ガタンガタンと言いながらエレベータは上昇してゆきます。マモルンの視線が冷たいです。
「もたいないお化けだろ?」
なんと! オチを読まれた!!!!!
「オチって! やっぱり完全にネタかよ!!!!!!」
こめかみぐりぐり2回目。
幼児虐待なのです!
そうこうして居るうちにエレベータは45階に差し掛かりました。
―――ダンジョンマスター、ンラド(間男)
昨日から仲間に連絡が取れない。
集会所に赴いたが資格喪失だと言われて門前払いされた。
「なぜこうなった!」
自分ダンジョンに帰るとまだ昼前だというのに70階層まで攻略されていた。50階層の暗黒竜はどうした!
……50階層を映像を映すとそこには切り出され搬送を待つ暗黒竜だったものが映し出される。
攻略トップの71階層に映像を映すと破廉恥な衣装を着た少女が暴れまわっている。
「なんだこれは……」
力が抜ける。椅子から滑り落ちそうなほど力が抜ける。
そこで突然に背後からやさしく頭を抱えられる。包まれるようにあの女の臭いがした。
「大丈夫よ。あ・な・た♪。私が排除してあげる……」
頼もしい言葉に俺は捨てる予定の女にサービスをする。ヴィーニャの顔を引き寄せキスをプレゼントする。口を離すと少女のように喜んでいる。
「じゃあ、あの女潰したらもっと愛してね♪」
ヴィーニャはそれだけ言うとマスタールームを出ていった。
ヴィーニャが出ていったのを確認するように振り向くと、そこにはタバサがいた。
目を疑った。瞬きをするとタバサは消えていた。
動揺してしまった。
動揺のあまり俺はヴィーニャの支援を行うのを忘れる。
気が付いたのはすべてが終わった後だった。
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