第39話「悪の組織4大幹部見参」

 魔法道具が完成して祖母と王妃様がいなくなりました。

 この4セットそれぞれ【王都-領都】【領都-獣王都】【獣王家個人所有】【リーリア研究用】として持ち去られました。

 私はまだお尻が痛いのでポチベットでお休み中です。

 暇なのでトランプ中です。

 11以上が絵柄ではなく、マークもなく色違いなのですがまさにトランプでした。

 そしてポチベット上で3人して大富豪中です。

 ルールは私の田舎のルールと同じでシンプルなものでした。

 大富豪ってルールでずいぶん違うのでローカルルール毎に対立が生まれるのです。

 1例としてうちの地元ではゲーム後大富豪が大貧民から2枚良い札を搾取できるというルールがありました。

 社会人になり同期メンバーと集まった時に喧嘩しそうになったのはいい思い出です。

 今でも思います。2枚献上の屈辱に耐えて逆転するからこその大富豪。負けたままでブーブー言ってる負け犬には興味はないのです。

 さて小粋な過激発言をしたところでゲームにもどりましょう。

 カードゲーム何か? それすなわち頭脳ゲームです。


「上がりなのです。大富豪なのです。控えおろう下民共なのです」

 それゆえに大人の頭を持つ私が子供には負けません。

 皆さんにも覚えがないでしょうか?

 小さい頃クリアできなかったゲームを大人になったら、いとも簡単にクリアできたという経験。ありますよね?

 それを私は当時も今もこう結論付けます。

 『経験値という引き出しがもたらした効果』であると。

 普通に社会人になっても経験しました。

 人間として20歳前後の体が、頭が、一番能力が高いはずですのに、能力が落ち続けているはずの40歳50歳60歳の方々に仕事上で勝てない。

 何故でしょうか?

 若かりし頃の自分はこう結論付けました。

 『データベースの性能が劣化を始めていようと経験データが豊富なベテラン』と『データベースの性能が良いが経験データが空っぽな若手』。

 若手は常に『一度思考中断して外部接続の上、経験豊富な方からデータを頂いて判断している』為判断が遅れ、ベテランに負ける。と。

 ……いけませんね。少々システムによりすぎたようです。

 詰まるとこ経験が詰まっている脳であれば少々能力が落ちても、調べて恐る恐る実行する脳に比べて優秀な判断ができるという事です。

 人生に無駄な経験などないのです。新しい事への挑戦は失敗成功問わず肉となり血となる。私の持論でした。

 故にカードゲームで経験の少ない子供に、私が、負けることはありません。


「ここで革命なのです!」

「えー!」

「鬼畜です!」

「ふははは、2を温存した君たちは戦略上の敗者なのです」

 ちなみに、この大富豪公式に連盟がありルールも設定しているとか、オソルベシ。

 ポチがいじけてポチタマコンビでテーブルに移りお茶を飲み始めると、大人たちが戻ってきました。


「ふむ、マイルズよ!」

「はい」

「男のロマンとは何ぞ!?」

「火力!」

「友よ!」

 獣王様に両脇を掴まれて抱き上げられました。 

 獣王様は話の分かる方のようです。

 女性陣の視線が冷たいのは存じ上げております。些細な事です。

 

「例の物を持て」

 獣王様がそういうと侍従たちが数本の大剣を持って入ってくる。

 ピーンときました。魔法剣の作成ですね!

 そして作っていいのは大火力の!

 男のロマンですな!!


「獣王様。ロマン?」

「うむ。ロマンじゃ」

 獣王様は私を肩に乗せると、騎士が恭しく差し出している一本の剣を抜き放ちます。剣の善し悪しはわかりませんが、一見して美しい剣だとわかります。

 魔法力の流れを見ます。

 はめ込まれた宝石は魔石なのでしょう。

 そちらから剣先までいびつですが魔法回路が組まれています。

 

「刮目せよ、火力じゃ!」

 そういって獣王様は魔法力を大剣に流し込む。

 すると一気に大剣の魔法回路から炎が上がります。

 おお、豪快なのです!


「……あなた、室内でやめて」

 獣王様の耳がシュンとなります。そして魔法剣も力を失います。女性強し。


「で、本当に火力追い求めたの作ってもよいのですか?」

 聞く空気ではありませんがめげません。なぜならばそこにロマンがるので。


「……」

「よい!」

 渋面の女性陣。祖父は恐れて離れてゆきます。味方は獣王様だけ。


「どんなのにしましょう!」

「光の剣が良いな!」

「ほほう! よいですな。大剣の刀身も光とかないですよね!?」

 とあるロボット番組のビームサーベルとかライトセーバーとか光を物質みたいに扱っていますが。光は粒子であり波でありますからね。波ってことは常に動いてますからね? 物質にはなりえませんよ?


「よいよい! 光って切れ味が上がればよい」

「じゃあ、魔法力込めると剣先から光攻撃魔法打てるとかお得機能付けても?」

「うむ、なんだそれ。良いのう! ロマンの香りがするぞ!」

 まわりとの温度差?

 知りません! 楽しいので。

 この後魔法回路未処理の超一級品の大剣を2本いただきました。

 帰宅する5日後に納品のようです。

 任せてください獣王様!

 すると、獣王様も親指を立てていい笑顔です。


「納品前に検品します。やりすぎだった場合は取り上げます」

 祖母が冷たく言い放ちます。

 やりすぎた時の為の2本ですね。

 もちろん作りますともいいものと無難なものを。

 うふふ、楽しいのですよ!

 ロマンが私を呼んでいる!

 やはりビームは標準装備ですね。

 あとは……波動砲とかも……いえハイメガ粒子砲でしょうか。

 Z〇燃えますね!

 〇Zと言えばザ〇Ⅲです!

 あの灰色のボディーとザコ兵器シリーズの〇クのくせに超高性能兵器!

 Z〇より先にプラモを買ったのは懐かしい思い出です。なによりあの!(以下作者自粛)

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