第53話 じゅんび

 PPPのライブがラスト一曲に差し掛かる。

 漫才の次の演目で、今回のフェスティバルの目玉となる“コンテスト”が順を追い始まるのだ。


 準備室にも緊張が走る……と、見られたが。

 フレンズ達は自由に事を進めており、それぞれの性格が良く出た状況となっていた。


「ロスっち、終わったのー……?」

「もう少し……。私の大切なマフラー、しっかり預かっててねっ!」

「うんー。後どれくらいで始まるんだろうー? 水でも飲みに行こうかなー……」

「もう始まるって! アミメキリンちゃん、どんだけマイペースなの……」


 二人のフレンズ。

 偶蹄目キリン科キリン属のキリン、アミメキリンとロスチャイルドキリンの“ロスっち”である。


 キリンは現生動物の中で最も背が高く、長い首と長い脚を持つ。体色は橙褐色や赤褐色、淡黄色であり、斑紋はんもんが体の殆どに見られる。皮膚に覆われた二~五本の角を生やしているが、これは特に使い道が無いという。


 食性は植物食でその大きな体を活かし、高所の木の葉や若芽を食べる。低所の草本や果実も食べる為、その際は前脚を広げ屈む姿なども見られる。


 性格はロスっちは明るく活発的、アミメキリンはマイペース&スローペースといった感じで、ロスっちから“大人しい”と言われている。因みに、ロスっちはキラキラ系で攻めているとか。真逆の性格と言った所だ。


 二人共、全体的に元動物の色合いをしており、スカートとタイツ、そして、長いマフラーが共通している。このマフラーは二人にとってとても大事な物であり、手放す事がない。ロスっちは胸元にピンクのリボン、アミメキリンは茶褐色のネクタイを帯びている。小さな角や、たてがみを模したもふもふとした髪、特徴的な尻尾などはキリンを表したもの。ロスっちの髪はもみ上げ部分が巻かれており、とてもオシャレである。そして、キリンのフレンズは共通して睫毛が長い。


 ロスっちの格好は普段と異なり、いつも以上にオシャレでキラキラなものであった。オマツリユカタ(ギャル)――これを着用しているという事は当然、このコンテストへの参加者である。


「やはり、ショウジョウトキの赤は美しい……(ドヤァ)」


 鏡の前で自分に見惚れるショウジョウトキ。そんな彼女にロスっちが面白そうと、絡みに行く。


「ねぇねぇ、私の格好、どぉ~? 良い感じ?」

「んー……、そうですね。ふっふっふ(ドヤァ)」

「なにぃ~?」

「ショウジョウトキの次くらいに、ですかね」

「そんなー……って、それ褒めてる?」

「えぇ、もちろんっ! 次ですからね、だいぶ褒めてますよ(ドヤァ)」

「やったぁ~。ありがとぉー。私、ロスチャイルドキリンのロスっちよー。あっちはアミメキリンちゃん」


 椅子に座るアミメキリンがコクリと頷く。


「私はショウジョウトキです(ドヤァ)」


 近くに居るフェネックもその様子を見据え、加えて挨拶をする。


「フェネックだよー。あっちに居るのがアライさんー」


 フェネックの声に反応して、真剣に衣装選びを続けるアライさんが遠めで声を上げた。


「フェネック、ちょっと待つのだー」


 すると、一際目立つ不穏な空気を漂わせたフレンズが一同に向けて近付いてくる。


「くすくすくすっ……。優勝するのは、私ですよ……」

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