第52話 ふぇすてぃばる 3

 PPPのライブで盛り上がる会場。

 第一線の群衆から少し離れた場所で小さくノリに乗るリカオンの姿も。そんな様子を見つけ出し、ようやく合流するオオカミ。


「やっと、見つけたよ……。フレンズが多くて合流するのにも一苦労だわ」

「オオカミさん、遅いですよぉ……」

「ごめん、ごめん」

「リカオン、意外とこういうの好きなのね」

「駄目ですかぁ……? 楽しいものは楽しいですからね……」


 気恥ずかしそうに照れるリカオンにオオカミが笑い掛ける。


「良いと思うわっ! とっても素敵なイベントね。絵になりそう」

「あっ! そう言えば、フェネックさんも遅いですねぇ……。アライさんも大丈夫かなー?」

「アライさんも来ているの!?」

「え、えぇ……。オオカミさん知り合いでしたっけ?」

「うん……。ちょっとした縁でね、戦友って所かしら。こんなに早く、こっちで再会出来るなんてね」

「……??」

「まぁ、今は楽しみましょう。後で会えるわけだしね」

「そうですね!!」


 会場の雰囲気に合わせ、遅れてやって来たオオカミもノリノリで祭りを盛り上げる。それに、オオカミだけではない。大きな音と多くの気配に気付き、周辺のフレンズ達もぞろぞろと集まり始めていた。事前に知っていた者も、そうでない者も、共に催しを盛り上げ、創る。これは運営の意思、マーゲイの述べた“けものフェスティバル”の形、そのものの姿であった。


 そして、催しを成功させるに、特に欠かせない材料。それは運営スタッフと演者である。イベントが始まっても、その多忙さは変わらない。せっせと次の演目の準備にかかる裏手のフレンズ達。


 ステージ裏側。


「そっちに機材運んでくださいー」

「『ツリーボアズ』の二人、まだですか?? ライブの次なので、巻きでお願いします!!」

「はいよ~。台本のチェック中や。ちょっと待ってな~」


 そこに居たのは、有鱗目ゆうりんもくボア科ツリーボア属のアマゾンツリーボア――通称“アマボア”。


「――ッハ! 文字は書けないのに、台本……。おかしいわ……」


 と、有鱗目ボア科ツリーボア属のエメラルドツリーボア――通称“エメボア”の二人である。


「真剣に悩んで、どないすんねん!! 頭の中の脚本って意味合いやんか!! ……。また、あたしがツッコむはめに……」

「ツッコミ……、私なのに……」


 二人は『ツリーボアズ』というお笑いコンビをやっている。本人達曰くは、未だにもどきであるとか。ボケがアマボアで、ツッコミがエメボアであるが、いつも逆になる。活動を始めたきっかけは、二人共、誰かを笑わせる事が大好きであるという単純な理由。


 ヘビの子は皆、外見的な特徴としてフレンズ化後、フードと元動物に模した尻尾を持つ。色合いはアマボアは赤、エメボアは緑を基調としている。


「本番までこちらで待機していて下さいー」


 運営スタッフが二人を誘導する。その場のパイプ椅子に腰を掛け、何度も頭の中で台本の確認を続けるアマボア。


「ヤバイ……、緊張してきたわ……」

「私も……。けど、二人なら大丈夫よ……」

「そやね。頑張ろう!!」

「うんっ!!」


 相方のエメボアに励まされ、コンビらしいひとこまが窺えた。そして、別の所でまた騒々しいフレンズ達が。


「アライさーん、早く決めないと時間がないよー?」

「どれも良くて迷ってしまうのだ!!」


 衣装選びに思い迷うアライさんとそれを冷静に見詰めるフェネック。鏡の前で自分の美しさを再確認しながら、ドヤ顔を浮かべるショウジョウトキ。準備室の中で、コンテストに参加するフレンズ達があれやこれやと逡巡する。


 それも、コンテストで一番に輝くため。コンテストに挑む者達にはそれぞれに理由がある。ショウジョウトキの様に、自分の美しさを証明する為に参加した者。アライさんの様に、優勝賞品欲しさに参加した者。更には、興味本位で参加した者など、色んなフレンズが相俟って、競い合うのだ。


 どんな理由があったとしても、その称号の価値に揺るぎはない。

 そう、初代“ミスフレンズ”はとても輝かしい栄光なのだ。

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