第26話 ゆめりあん

*


「……、はっ!」


 アライさんが勢いよく目覚めると、そこには辺り一面がピンク色に彩られた幻想的な空間が広がっていた。


「フェネック……? スナネコ……?」


 アライさんは確かに昨日、スナネコの穴倉で眠りについたはずであったが。

 自分の記憶を遡りながら、おどおどと足を進めるアライさん。


 すると、それ以上に慌てた様子で涙目になりながら一人のフレンズが声を上げていた。


「どどどど、どういうことですか~~。うえ~んっ!」


 そこに居たのはウシ目ウシ科ガゼル属のリムガゼル。

 けも勇槍騎士団の一人で、湾曲が弱い細長い角を二本持ち、その特徴でもある角と同色の槍を保持している。体面の毛衣は淡黄褐色たんこうかっしょく黄白色おうはくしょく、白色の三色。

 フレンズ化の影響で、自身と同色である制服の様な服にブレザー、ミニスカートを着用。髪はふわふわとしていて、ゆるく縛られたツインテールとなっている。


 そして、最大の特徴、それは気弱な性格をしていること。


「あっ! フレンズさん……」


 リムガゼルがアライさんを見付けると、すぐに近寄り、ほっと一息。独りではない状況に安堵の表情を浮かべた。


「お前は……?」

「リムガゼルです。周りに誰もいなくて……、不安で~」


 今にも泣きだしそうな声に、アライさんは苦笑しつつ返答する。


「それは、良かったのだ。アライさんなのだ。よろしくなのだ」

「アライさ゛ん゛。助けてーくーだーさーいー!」

「それはこっちのセリフなのだっ!!」

「オアシスに居て……、寝ていたはずなんです……。起きたら、こんな知らない場所に独りでぇ~……」

「全く同じなのだ……。アライさんも確かに穴倉で寝ていたはずなのだ……」


 アライさんは昨日の出来事を追う。

 セルリアンとの激戦を終え、スナネコ、フェネックと共にスナネコの穴倉で眠りについた。就寝前、定かではない記憶の中で幾つかのワードを覚えていた。遺跡やサンドスター、お宝の話等……。

 

 しかし、今の状況に直接結びつく様なものは何一つない。


「どうしよぅ……」

「すると、この状況は何なのだ……」


 フェネックが居ない現状、アライさんはいつもの数倍、頭を動かし思考する。

 しかし、それでもこの現象を説明する事のできる材料は未だ入手出来ない。


「……っは! まさか……」

「アライさん? 何か分かったのですか?」

「寝相の悪さがここまでくるとは……」

「もぉー! それじゃあ、私はどうなるんですかー!」

「確かに……。説明できないのだ」


 説明のいかない状況に八方ふさがりの二人の前に、遠方から声と共に一人のフレンズ飛翔しながら接近してきた。

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