とんでもないものを盗まれてしまいました……

 えー、芸術関係では時折本物だと思っていたものが本物でなかったりしますよね。何でも鑑定団でもよくそう言う物が目利きの人に正体を明かされたりしています。

 偽物の芸術作品を贋作と言うのですが、素人は騙せてもプロは騙せません。

 中には多くのプロも騙されてしまう贋作もあるようですが、そんな贋作を手にしたら素人にはまず判別は出来ない事でしょう。


 そう言えばギャラリーフェイクと言う贋作をテーマにした漫画もありましたね。あの漫画、私も結構好きでした。


 さて、贋作と言えば、それ単体で本物だと偽って知識のない人に売りさばく場合もありますが、こっそり本物と入れ替えて本物を手に入れる手段に使われる事もあります。絵画泥棒とかがよく使う手段ですね。よく創作物でも使われるテクニックではないでしょうか。


 そんな創作物のような出来事が、つい最近この日本で起こっていたようなのです。今回はそのニュースをネタにしたいと思います。


 神奈川県が4月17日(※執筆時)に発表したところによると、県が40年以上前に棟方志功に特別に制作を依頼し、300万円で購入した版画が、いつの間にかカラーコピーの複製に入れ替わっていたのだそうです。これは2014年に開かれた展覧会で観覧者に指摘されて発覚したものです。

 それから約3年間本物を探したようなのですが見つからず、それでようやく盗難に遭ったと判断して、これから県警に被害届を出す方針なのだとか。


 これだけでもお役所仕事だなあと思うのですが、職員に専門家はいなかったのでしょうか?素人(とは限りませんけど)に指摘されるまで偽物に気付かなかっただなんて。


 その版画は「宇宙讃うちゅうさん神奈雅和かながわの柵)」と言う作品で、横約65センチ、縦約50センチ。県民ホールの開館に合わせ、緞帳どんちょうの原画として晩年の棟方に制作を依頼したものだそうです。

 版画は県が1974年10月に受け取り、緞帳制作会社に一時期預けた後、額に入れて館長室に展示していました。


 本物は和紙に刷られたものでしたが、コピーされたものは普通紙。上下逆さまに額に貼り付けてしまったと見られ、台紙の裏に取り付けられていた額をつり下げる為の紐の位置も変えた形跡があったそうです。


 この情報が正しければ、普通紙のカラーコピーに上下逆さまですよ。そりゃ詳しい人なら気付きますって。ここまで雑な仕事をしているのに指摘されるまで本物と思っていた職員側の認識って一体……。盗まれるなんて全く頭になかったのでしょうか。


 観覧者から指摘を受けた後、3年も発表しなかった理由について、県民ホールの指定管理者である神奈川芸術文化財団の薄井英男専務理事は「ホール内のどこかに本物があると思って探していた」と話しているそうです。


 こらあかん……ため息が出ますね。多分自分のお金で買った訳じゃないからこんな杜撰な対応なのでしょう。その購入費用は住人の税金なんやで!わざわざ工作をしているのにホール内に本物がある訳ないやろっ!


 って言うかここまで対応がズレているのは、真実を知ってとぼけている可能性すら考えてしまいます。どこかおかしいですよね。その3年の間に本物の版画をどうにかしていて、もう足がつかない確証が出来たから発表したとか? 疑い始めるとキリがありませんが……(汗)。


 今更発表して探し始めたってネットで情報が漏れるとかでもしない限り、まず本物は見つからない事でしょう。

 今後、こう言った美術品は高額な物を取り扱っている、隙あらば盗もうとしている人が多数存在すると言う認識で取り扱って欲しいと思います。

 内部犯行にも気を付けて、スタッフを雇う時は信用出来る人物を選ぶように。


 ……とは言え、きっとそれが一番難しいんでしょうけどね。人間はいつ豹変するか分かりませんし。

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