第676話カフェ・ルミエール文化講座の新たな構想(1)

カフェ・ルミエール文化講座事務局にて、事業計画検討会議が行われている。

出席者は、事務局の京極華蓮、久我道彦、田中亜美。

筆頭理事として大旦那、理事として晃、マスター、ルクレツィア女史も出席している。


華蓮が近況報告を行う。

「全ての講座において、ほぼ定員は満員状態、出席率は95%を越え、経営状況は完璧になっています」

「予定以上の収益があがっております」


道彦が補足説明。

「時間が空いている限り、もう少し講座を増やしても、問題はないかと思われますが、それについても受講生にアンケートを行いまして、興味ある結果が出ております」

道彦の補足説明で、亜美がアンケート結果表を理事全員に配る。


大旦那は、そのアンケート結果表をしっかりと見て、

「映画講座、音楽講座希望が多いなあ」

晃は、うれしそうな顔。

「和歌講座を増やすかなあ・・・万葉集から新古今まで、様々な物語文化と組み合わせても面白い」

マスターは、目を丸くした。

「エスニック料理ねえ・・・東欧料理もいいかもしれない」

ルクレツィア女史は、また違う部分に注目。

「古代ローマの貴族の生活ねえ・・・取り寄せれば資料があるかな」


理事たちの反応を見た華蓮

「おそらく、そのアンケート結果は、理事長は別として、それぞれの講師の授業から派生したものだと思うのです」

「晃理事は源氏講座からの和歌講座、マスターはフランス料理講座からのエスニック料理、ルクレツィア理事はフィレンツェ講座からの関連」


理事全員が頷くと、道彦が意見を述べる。

「アンケート結果を重視して、その線で講座を増やすのか」

「あるいは、新たな受講生が増えるような講座を増やすのか」

「深く掘り下げるか、それとも広くするのか」

道彦は、ここで一呼吸。

「僕としては、まだ発足して時間がそれほどではないカフェ・ルミエール文化講座なので、あまり固まらず、新しい受講生層を獲得してみたいと思っています」


大旦那は、腕を組んだ。

「うーん・・・安全策でアンケート結果を重視してというよりは、まだ新しいのだから冒険をってことかな」


マスターは、道彦の顔を見た。

「道彦君に具体的な案は何かあるのかな」


道彦は、その質問に笑顔。

「はい、何科目か、考えました」

「それでは、スクリーンをご覧ください」


会議室天井から、大きなスクリーンが下り始めた。

亜美は、道彦の説明する資料を配っている。

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