第601話文化講座開講記念パーティー(1)

カフェ・ルミエールビルの三階は、300人は入れる大広間。

かつては、大旦那のお屋敷の私材などが置かれていたものを撤去し、改装を施した。


まず、床面は上品な純白の石畳、壁面も同じく純白の大理石。

天井には、華やかなシャンデリアがかかっている。

また、大広間奥には、小さなステージが設けられ、これは重厚なマホガニー材の床で、正面の大きな演台と司会者用の小さな司会台も同じく相当重厚なマホガニー材で作られている。


史は、この大広間は実は初めてだったようだ。

指定の席につくなり、大広間を見回す。

「すっごい豪華、シンプルだけど、床、壁、ステージはいいなあ」

史と一緒に大広間に入った里奈は、緊張している。

「・・・なんか、私みたいな女の子は場違いみたい・・・」

史は、震える里奈の手を握った。

「里奈ちゃん、心配しなくていいよ、僕がついている」

「料理も、マスターと清さん、洋子さん、サブで母さんと姉貴が入ったの」


里奈は、史の言葉にホッとした。

「マスターと清さん?洋食と和食?」

それでも、史に質問をする。


史は、少し笑った。

「えっとね、今日は完璧フレンチのコースになるって」

「その中で、清さんが和食の技法を使うらしい」

里奈は、うれしそうな顔。

「へえ・・・すっごいなあ・・・でも楽しみ、どうなるのかなあ」

・・・・・・


史と里奈が、楽しく話をしていると、ステージには華蓮と道彦、大旦那と晃、マスターが何やら相談をしている。


大旦那

「最初の挨拶は、俺がやるとして乾杯は晃」

「そうだね、それでいいかな」

マスター

「締めは、俺?」

華蓮

「それはカフェ・ルミエールですもの」

道彦

「味のあるスピーチになりそうです」


話はすぐにまとまり、華蓮が舞台の端の司会席につき、アナウンスを始めた。

「それでは皆様、記念式典、記念講義、記念コンサートお疲れ様でした」

「ただいまより、次第により、記念パーティーをはじめたいと思いますが、それに先立ちまして、本講座の主宰者であります近衛兼実よりご挨拶を申し上げます」


華蓮の言葉により大旦那は、舞台中央の大きな演台に歩きだした。

ただ、記念式典でのあいさつの時よりは、柔らかな顔になっている。


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