第552話華蓮と史(5)

華蓮は、真っ赤になっている史の様子を楽しんでいる。

その上、大声で史に言葉をかける。

「ほら、史君!その生白いお肌!」

「これじゃあ、由紀ちゃんが軟弱っていうのが、わかる」


史は、ますます顔を上げられない。

何しろ、華蓮の大き目の胸が、華蓮の言葉と同時に、ブルンブルンと揺れている。


結局、史は華蓮を見ていられなくなった。

視線を外してポツリ。

「ねえ、華蓮ちゃん、人がたくさんいるけれど、泳ぐの?」


史の言う通り、プールサイドには、たくさんの人。

それでも、若い人が、かなり多い。


華蓮は、そんな史が面白い。

「それは泳ぐけどさ、それよりさ、何か冷たいもの」

と言いながら、史の腕をグイッと組んでしまう。


史は、またそれで、顔が真っ赤。

「華蓮ちゃん、密着し過ぎ!恥ずかしい!」

腕を華蓮から引き抜こうとするけれど、華蓮はますます密着。

「だーめ!迷子になったらどうするの!」

「そんなことになったら、また倒れるって、メチャ暑いんだから」

と、史の抵抗など、華蓮はまったく気にしていない。


それでも、華蓮と、華蓮に引きずられた史は、飲み物売り場で、それぞれ、ノンアルコールカクテルを注文。


華蓮は、「ローズシロップのノンアルコールカクテル」

(イチゴ1個とシュガーシロップ、ローズシロップ、レモンサイダー、氷にスペアミントを2〜3枚のせたもの)

史は「カルーアミルクビア」

(水出し珈琲、ノンアルコールビール、牛乳、練乳と氷)


華蓮は「とりあえず飲む」と、史をまた引きずりながら、パラソルの下、横になれるプールサイドチェアのある場所へ歩く。

史は、完全に引きずられるだけの状態。

何しろ華蓮と組んだ腕が抜けそうにない。


さて、プールサイドチェアにたどり着いて、史はようやく華蓮の腕と身体から解放された。


史は思わずため息。

「はぁ・・・」

と言いながら、プールサイドチェアでカルーアミルクビアを一口。


しかし、ため息もわずかしかつけなかった。


華蓮がまた史に声をかけてきた。

「ねえ、史君、そのカクテル美味しそう」

「私の甘すぎるから、ちょっと交換しよう」


史が、「え?」と華蓮を見ると、すでに華蓮の腕が伸びてきているし、また胸がブルンブルンと揺れている。


「あ・・・わかった・・・」

史は、目を閉じてしまった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る