第511話カフェ・ルミエール文化講座構想(2)

午後4時、大旦那のお屋敷で、大旦那、晃、マスター、清の四人の相談が行われた二日後。

一人の若い女性が、カフェ・ルミエールに入ってきた。

そしてカウンターの前に。

年齢で言えば、24歳ぐらいだろうか。

紺の上下のパリッとしたスーツ姿。

スタイルは胸がパンと張り、ウェストがキュッとしまり、ふくらはぎを見るだけでも、かなりの美脚と想像できる。

その顔は、まずは可愛らしい。

そして目が大きく、キチンと整った相当の美人。


これには、アシスタントの奈津美、結衣、彩もドッキリ。

奈津美

「すっごい!美人の典型?」

結衣

「う・・・まずい・・・やばい・・・」

彩も同感らしい。

「うん、まずい、史君を取られちゃう、見せたくない」


キッチンから異変を感じた洋子も出てきた。

すると、その超美人は、洋子たちに、にっこりと頭を下げ、「大旦那様の財団よりまいりました、京極華蓮と申します」と、一人一人名刺を差し出していく。


洋子はマスターから、少し話を聞いていたようだ。

「はい、早速ありがとうございます」

「それでは」

と、自ら、空いたテーブルに華蓮を誘導する。


席に着くと、華蓮は再び、洋子にキチンと頭を下げる。

「本当に、洋子さま、直々にありがとうございます」

洋子は、そんな華蓮に押され気味。

「え・・・いや・・・こちらこそ、大旦那様のお話もございますし、素晴らしい文化講座の案と、私も是非参加したいと思っておりました」


華蓮は、その洋子の言葉で、まさに花が咲いたような笑みを見せる。

「そうですか、本当にありがたいことです、私としても、かの有名な実力パテシェの洋子さまにご参加いただけるなど、うれしくて仕方がありません」

洋子は、ますます緊張する。

「あ・・・それでは、何か・・・メニューから・・・」

つまりメニューからケーキと珈琲をというのである。


華蓮は、するとまたうれしそうな顔。

「本当に感激です、洋子さまのケーキとカフェ・ルミエールのお飲み物なんて・・・」

少し悩んだ後

「はい、どれも素晴らしくて選ぶのが大変ですが、ブラン・マンジェ、フランスのお菓子ですね、アーモンドミルクにゼラチンやクリームを混ぜて冷やし固めたものと、ローズヒップのお茶を」


洋子は、ホッとしたと同時に感心した。

「うわ・・・この子、味覚も完璧、ブラン・マンジェと珈琲系ならあれ?と思うけれど・・・」


ただ、洋子のホッとした感覚もそこまでだった。

華蓮の次の言葉で、アセリが生じることになった。


「あの・・・由紀ちゃんは来られますか?」

「史君にもお逢いしたいんです、可愛かったもの、小さな頃」

華蓮は、夢を見るような顔になっている。


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