第501話史の新しい難題 真由(2)

由紀は、史が真由のことを何も知らないということは、わかった。

「とにかく、史は頑固な部分があるし」

「付き合うのは里奈ちゃんだけだし、愛華ちゃんがあれほどアピールしても、振り向きもしない」

「まあ、洋子さんとのデートとか、カフェ・ルミエールの女の人たちだって、史は案外事務的だ」

「他の女どもも、ほぼアキラメの状態、それはそれでいい」


難しい顔をして歩く史を見て、考える。

「難題は、史が悩む性格だってこと」

「そして真由が、思い込みが激しいし、何をしでかすかわからないこと」

「その二人が、ぶつかったら、ますます難しい」


その史が、由紀の顔を見た。

「いったい、その真由って人、僕と何がしたいの?」

「姉貴は、何を具体的に聞いているの?」

「それにさ、どうして僕に直接じゃなくて姉貴なの?」

史は、面倒そうな顔だけど、冷静。


由紀も、その史の顔を見て、冷静になった。

「今のところ、ただ史と個人的に話をしたいと言うだけ」

「私が去年まで部長だったし、メルアドも知っているからかなあ」

「それと、女の子ってのは、男の子に直接ってのは、難しいの」

そこまで言って、メールの返事をようやく伝える。

「とりあえず、真由には、史は当分忙しいとは言っておいた」


ただ、史はそれでは不安だった。

「じゃあ、真由って人は、それで納得したの?」

どうしても、それを聞きたかった。


由紀は、黙ってスマホの画面を史に。

真由からの返信だった。


「はい!部長!ドキドキして待ってます!」


史は冷静だった。

「ねえ、姉貴、真由って人が直接、僕に言うように言って欲しい」

「そうしたら、はっきり言う」

「僕は、付き合っている人がいるって」

「他の人は、考えていないし」

「それしか、言いようがない」

「思い込みが何とかって言われても」


由紀は、

「うーん・・・」

と唸っている。








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