第449話銀座、日本橋散歩(15)

たっぷりとトルコ料理を楽しんだ史たちの一行は、日本橋に向かうことにした。

ただ、少しの間、話題はトルコ料理が中心。

「歩いて少し消化していかないと」

愛華

「そうやなあ、食べ過ぎは事実や」

加奈子

「でも、美味しかった、新しい美味の発見や」

加奈子

「この話をマスターにしたら、面白そう」

「そうだねえ、悔しそうな顔するのが面白い」

愛華

「マスターの正統フレンチとトルコ料理・・・」

加奈子

「全然、技法も違うからねえ」

・・・・・

それでも、少しずつ、目が様々な店に移り、次の目的地も考えるようになる。


「日本橋って言っても、人形町に行くの」

由紀が、補足説明。

「どこでも売っているけれど、人形焼の出来たてのを、大旦那と奥様へのお土産にしようかと思って」


愛華もフンフンと

「そうやねえ、店で食べたら美味しいのかな」

加奈子も

「それは、何でも出来たては美味しいと思うわ」

と、話し出すので、

史は

「え?また食べる?」

と、笑っている。


由紀が、また一言。

「人形町は、下町だよ」

「甘酒横丁なんてのもある」


すると愛華が反応。

「甘酒飲みたくなった」

加奈子も、即反応。

「絶対、飲む」


史は、由紀と顔を見合わせた。

由紀も、史の気持がわかったらしい。

そして、史にそっと

「でもね、食欲が出るって、旅行客にはいいことだよ」

由紀は、穏やかな顔になっている。


一行は、銀座駅から日比谷線に乗った。

所要時間としては、9分で、人形町駅に到着。

すると、史が一応の説明をするようだ。


「日本橋の人形町は江戸の頃から、様々な演劇が行われた場所だよ」

「人形演劇もやっていて、人形を作る職人も多く住んでいて、それが町名の由来になったみたい」

「それから安産と子授けの神様の水天宮というのがあって、ここも歴史が深いかなあ」


愛華と加奈子は、フンフンと聞いているけれど、由紀は途中から面倒になったようだ。

「史、歩けばわかる!」

「まずは、水天宮に参拝してから、甘酒横丁、最後に人形焼屋さんに行こう」

ほぼ強引に指示命令、先頭に立って、歩きだしてしまった。

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