第441話銀座、日本橋散歩(7)

岡村顧問は、そのほがらかな表情と声で

「由紀さんと史君、少し時間ある?」

「といっても一時間もかからない」

と、予定を聞いてきた。


史は由紀の顔を見た。

「どうしよう・・・一時間かからないって」

由紀は、少し考えた。

「うーん・・・岡村顧問のお話だから音楽関係だよね」

「今は午前11時くらいかあ・・・食事もあるしね」


少し悩んでいる史と由紀に岡村顧問

「一階の入り口のステージで歌でも歌おうかなと思っているのさ」

「せっかく史君も由紀ちゃんもいるからなあってね」


それを聞いた史はキョトン。

「え?突然、ここ?」

由紀も、尻込み。

「やだ、最近発声練習していないし」


そんな史と由紀を見ていた愛華は、ニッコリと笑う。

愛華

「なあ、史君、せっかくの話や、うちもステージにみんなとあがるって」

加奈子も、ノリノリ

「史君と由紀ちゃん、岡村先生までいるんだから、私も歌う」


そうまで言われたので、史は由紀の顔を見る。

「姉貴、仕方ないよ、やろう」

史は、覚悟を決めてしまったようだ。

由紀も観念した。

「うーー・・・少しだけだよ、練習もしていないし、ちょっと恥ずかしいけど」

と、渋々承諾、岡村顧問に目で合図する。


岡村顧問は、ますますうれしそうな顔。

そして合唱部員に

「おーい!特別ゲストで由紀前部長と前部長と史君のいとこの加奈子さんと遠縁の愛華さんが参加してくれるそうだ、ああ、史君は部員みたいなものだから当たり前!」

と大きな声で発表してしまう。


それを聞いた合唱部員たち。

「うわーーー!やったーー!」

「マジ!興奮する!」

「こんなかっこいいステージでいきなり歌えるなんて!」

「しかも史君と由紀さんまで!」

「一生の記念になるーーー!」

・・・・

とにかく、歌う前から大騒ぎになってしまっている。

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