第406話史、由紀、愛華、加奈子の音大見学(3)

史、由紀、愛華、加奈子の一行は、まず山手線で渋谷まで、そして渋谷から井の頭線で明大前に、明大前から京王線にて音楽大学に向かう。

普段、乗りなれている史や由紀とは違い、愛華や加奈子は、本当に興味深そうな顔が続く。

愛華

「うわーー・・・さすが東京やなあ・・・人も多いしなあ・・・」

加奈子

「京都の雰囲気と、メチャ違う、観光客が多いゆう感じやのうてな、何ていうんやろ、雰囲気がシャキッとしてる」

山手線では、愛華と加奈子はそんな感じ。

井の頭線に乗ると、また違う。

愛華

「へえ・・・なんか乗ってる人の感じが、どことなく上品やなあ」

加奈子

「うわーー・・・ここが下北沢?ここも歩きたいなあ」

とにかく大はしゃぎの状態になっている。

二人とも、お抱え運転手による移動ではないし、京都から離れているので、自由満喫気分に浸っている。

それでも明大前から京王線に乗り込むと、落ち着いた。

愛華

「この京王線も一度乗ってみたかったんや、いかにも都内の立派な私鉄ってイメージやなあ」

加奈子

「そうやなあ、ワクワクしてきたなあ」

愛華も加奈子も、京都から離れ、その開放感と見知らぬ都内の雰囲気に、盛り上がっているようだ。


その二人の雰囲気を見ている由紀は

「そんなものかなあ、私は京都に行くと、古いなあとか、昔はここだったのかなあって感じだけだよ」

史は冷静に分析する。

「うーん・・・京都だと、ビルもあって都会的な面もあるけれど、やはり大きなお寺とか神社とかが目立つよね、山手線も井の頭線も京王線も、全くそういう景色はないしね」


さて、そんな電車内の様子は、音楽大学最寄りの駅到着で終了した。

そして、四人は、徒歩で駅から音楽大学へと歩くことになる。


史が、やはりここでは案内をしなければならない。

「じゃあ、歩きます」

と歩きだすと、またしても愛華が史の隣に、ピッタリ。

由紀も加奈子も、「あっ」と思うけれど、何しろ愛華の動きに先を越されてしまう。


愛華が史に

「うわーー!うれしいなあ、うち、都内を歩いているんや」

「それも史君となんて、幸せやなあ」

と声をかけると、

史は愛華に

「あはは、それはそうさ、ここは都内だし、当たり前」

「愛華ちゃんも、送迎車じゃないから、のびのびしている感じだね」

と、どうにも「愛華の言葉の意味」を理解していない反応。


加奈子は笑ってしまった。

「史君らしい・・・」

由紀は呆れた。

「やはり史はアホで無粋だ、女心への理解まるでなし」

「あいつには源氏学者の跡は継がせられない、音楽で充分」


と、そんな感じで四人が歩いていると、後方から、大きなアメ車だろうか。

ものすごい爆音が聞こえてきた。

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