第338話チゲ鍋

由紀は、家事をしながら様々考える。

「うーん・・・史って、本当に弱いなあ」

「時々、几帳面すぎる、家事にしろピアノにしろ、丁寧過ぎ」

「自分に厳しく他人に甘い」

「それだから、トラブルに巻き込まれる」

「寝ていると可愛い、起きると時々文句を言ってくるのが気に入らない」

「女どもが群がるのも気に入らない」

・・・様々考えるけれど、一番の心配は史の風邪からの回復しかない。


また、カフェ・ルミエールの女性陣も様々考える。

洋子

「とにかく回復のスピードを早めないと、披露宴に間に合わない」

奈津美

「お見舞いに行きたい、何か差し入れを持って」

結衣もすぐに賛成した。

「みんなで何か作って持っていくとか?」

彩は

「そうなると、精がついて、お腹にもやさしいものがいいね」

美幸は、様々本を調べている。

「雑炊とかリゾット風かなあ・・・玉子とかカニとか?」

それでも洋子はもう少し考えた。

「汗が出るような食べ物がいいかも、中華系か韓国系か」

奈津美は

「そうなるとチゲ鍋風かなあ」

結衣

「チゲ雑炊みたいなの?あまりキツくない程度に」

結衣

「そうだね、刺激強すぎて逆効果になっても困るね」

「美智子さんと一緒に作れば確実では?」

美幸

「そうですね、善は急げで」

結局、「チゲ鍋雑炊」を、史の家のキッチンで、母美智子と由紀も協力して作ることになった。


美智子

「本当にありがたい、私も少し疲れていたので」

「何しろ、心配で眠れなくてね」

と頭を下げると


洋子は代表して

「いやいや、史君は大切な仲間、仲間を救いたい」

と、洋子の手を握る。


鍋に様々なチゲの具材を入れていく。

野菜、タラ、牡蠣、豆腐、豚肉・・・

キッチン全体に、チゲ鍋の独特の香りが広がっていく。


また、チゲ鍋以外にも、韓国風のニンニクスープも作っている。


ほぼ出来上がったところで、由紀が史を呼びに史の部屋に。

由紀が

「ねえ、史、起きられる?」

「母さんと洋子さんたちが、チゲ鍋を作ってくれたんだけど」

と声をかけると


史は

「うん、声と物音と、匂いでわかった」

「少し汗を拭いたら、下に行きます」

「本当にありがたいなあ」

以前よりは、声が出るようになっている。


由紀は

「拭いたら声をかけて」

「階段でコケたりしたら困る」

と、ドアの前で待つ。


着替え始めたた史から、少しまともになった声。

「姉貴、ありがとう」

「心配させてごめん」


由紀は、

「え・・・何?史・・・急に」

そして、涙ぐんでいる。






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