第315話クリスマスコンサート(3)
開演間近となった。
ホールには、由紀と史の学園の生徒や先生方、校長の顔も見える。
また、地域オーケストラであるから、地域の人々も数多い。
自治会長や産直市メンバーの人たちの顔を多く見える。
もちろん、先にきていた音大生や音大の先生、プロの音楽家たちも多いようだ。
さて、そんな中、大旦那と奥様が現れた。
まず、晃、美智子に声をかけた。
大旦那
「ああ、今日はご苦労さん、楽しみだな」
晃は笑っている。
「史が珍しく本気モードです」
美智子は不安顔。
「どうなることやらと」
奥様が美智子の肩を抱いた。
「大丈夫よ、美智子さん、史君も由紀ちゃんを応援しましょう」
そんなことを話していると、ホールは超満員、立ち見の人もいるようだ。
大旦那が晃の顔を見た。
「私たちは、舞台裏に」
晃も頷いた。
「そうだね、一人でも多くのお客様に座ってもらおう」
ということで、全員が舞台裏に回った。
カフェ・ルミエールの一行と、里奈も舞台裏にいた。
マスターは
「ご苦労様です、大旦那、奥様」
しっかりと頭を下げる。
大旦那は、マスターの肩をポンと叩き
「いやいや、大盛況で何より」
といいながら、洋子、奈津美、結衣、彩、美幸、そして里奈にも頭を下げる。
大旦那に頭を下げられた洋子たちは、かなり恐縮顔。
史と由紀も、そんな様子を察したのか、大旦那に挨拶に来た。
史
「今日はありがとうございます」
と、キチンと頭を下げると、由紀もそれにならう。
大旦那は、史に
「ああ、俺のことはいい、演奏に集中してくれ」
と、史に笑いかける。
史は
「はい!わかりました」
と、また頭を下げ、舞台袖口に向かって歩いて行く。
そんな史に里奈が走り寄って、史の手をギュッと握る。
史は、少しうれしそうな顔をするけれど、すぐに真顔に戻った。
そんな史を見ていた由紀が、大旦那たちに
「今日の史は、少し怖いくらいなんです」
「気合が入っているけれど・・・」
と、不安顔。
そんな由紀にマスターが声をかけた。
「由紀ちゃん、心配いらない」
「史君は、やる時はやる、すごい集中力のある子だから」
ただ、舞台裏の話は、そこまでだった。
開演ブザーがなり、第一曲目の「バッハのピアノコンチェルト」のアナウンスが流れた。
そして史は、指揮者の榊原と一緒にステージに出ていく。
コンサートホールは、ものすごい拍手に包まれている。
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