第201話マスターと美幸(1)
マスターは腕を組み、ずっと考えていた。
「湯葉丼はメニューとして定着した」
「案外、関東の客にも受けている」
「ただなあ、もう一品欲しいなあ」
そんなことを考えていると、アルバイトの美幸がマスターに声をかける。
「マスター、奈良名物がありますよ」
「重たくなくて、あっさり系で、ほっこり系です」
マスターは、少し考える。
「うーん・・・茶粥ではなく」
「万葉風の雑炊でもないよね」
「ホッコリはしているけれど、アッサリではないなあ」
「でも、同じことを考えているね、重たくなくて最後に飲食を締めるもの・・・」
少し間があった。
マスターの目がキラッと輝いた。
「となると、にゅうめん?」
「まさか・・・」
そんなマスターに美幸はクスッと笑う。
「だいたい飲んだ後は、ラーメンとかってありますよね」
「ご飯物よりは、麺のほうが食べやすいこともあって」
マスターも笑ってしまった。
「そうかあ、懐かしいなあ、にゅうめんか」
「もともと三輪神社のあたりが本家と言われているけれど」
「そう言われると食べたくなってきたな」
美幸は
「はい、私は長谷寺に参拝した時に、門前で食べました」
マスターは
「へえ、長谷寺ねえ・・・それはそれは・・・」
興味深そうに美幸を見ている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます