第181話史が京都に?(1)
加奈子は、大旦那の長女の娘になるので、由紀や史にとっては、従妹になる。
マスターは大旦那の甥になるので、少し遠縁といったところか。
それにしても、マスターは目を見張った。
何しろ、加奈子は子供の頃から知っているけれど、今は目もくらむような美少女になっている。
「いやーーーきれいになったねえ、加奈子ちゃん」
「あんなに小さかったのに」
加奈子を助手席に乗せながら、マスターはつい顔がほころんでしまう。
「由紀ちゃんとか史君といい勝負だなあ」
「由紀ちゃんと史君は見慣れているけれど」
そんなマスターの驚きはともかく、加奈子はずっと周囲をキョロキョロしている。
「ねえ、マスター、やはり都会だよね」
「京都だとお寺とか神社ばかりでね、何か暗いんだけど」
「この明るさっていいなあ」
やはり首都圏には興味があるようだ。
そんな状態で、マスターと加奈子はカフェ・ルミエールに到着した。
そして、マスターと加奈子が一緒に店内に入ると途端に大騒ぎになる。
洋子
「きゃーーー!可愛い!」
奈津美
「マスター!どうしたの?そんなお人形さんみたいな子連れて」
その大騒ぎする二人に対して加奈子が上品に御挨拶。
「はい、加奈子でございます」
「大旦那の孫になります」
「由紀ちゃんと史君とは従妹です」
「京都から出てきました」
そんな挨拶をしていると、アルバイトの結衣と綾が寄ってきた。
結衣
「う・・・従妹で安心だ・・・超ホッとした」
彩
「しっかし、可愛いなあ・・・妹にしたいけど、大旦那の孫となると家柄もすごいなあ」
とにかく安心したり、驚いたりしている。
カフェ・ルミエールの扉が開いた。
そして、まず顔を出したのは由紀。
加奈子がすぐにわかったらしい。
「きゃーーー!加奈子ちゃん!」
「わぁ!由紀ちゃん!」
いきなり抱き合っている。
よほど従妹同士の再会がうれしかったようだ。
加奈子
「それで史君は?」
キョロキョロしている。
由紀
「ああ、史のアホ?もうすぐ来るはず」
素直に答える。
ただ、素直に答えても「アホ」がつく。
加奈子はちょっと笑う。
「だめだよ、由紀ちゃん、史君をアホなんて」
「そんなことばかり言うから、史君がすねるの」
笑いながら、少しし由紀を責めて、表情をまともにした。
そして、加奈子は驚くようなことを言った。
「あのね、史君は、大旦那に言われて、京都の大学に進学するかもしれない」
「私も、大旦那の話を聞いて、本人に直接話をすることがあってね、それで出てきたの」
由紀
「え・・・マジ?いなくなるの?」
その笑顔は途端に真っ暗になる。
他の女性陣も同様。
洋子
「えーーー?いなくなっちゃうの?」
奈津美
「やだ・・・」
結衣
「生きていけない」
彩
「泣いて暮らす」
・・・・
様々、波紋は広がる。
史は、なかなか店に入ってこない。
さて、どう考えているのやら・・・
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