第165話カフェ・ルミエール楽団演奏会(11)
カフェ・ルミエール楽団演奏会の最初の曲は「フィガロの結婚序曲」である。
指揮者の榊原氏は、ホールに集まった聴衆の大きな拍手を受け、ステージに登場した。
客席に向かって深くお辞儀をして、指揮台にのぼる。
そして、少し間をおき、指揮棒を振り下ろした。
「ふう・・・始まった」マスター
「そうだね、華やかでいいね、モーツァルト」涼子
「柔らかめに振っている」洋子
「史君の鋭さとかロック感覚もいいけれど、大人のモーツァルトの感じ」奈津美
「それでいてなめらか」美幸
「これはこれで、プロだね」結衣
「安心して聞いていられる感じ」彩
史と里奈も控室から出て、聞いている。
「さすがだ、落ち着いている」史も感心している。
「楽しさと余裕感がある」里奈もうっとりと聞いている。
さて、そんな大人のモーツァルト「フィガロの結婚序曲」が終わった。
指揮者の榊原氏は客席全体から大きな拍手を受けて、袖口に戻ってきた。
そして控えているカフェ・ルミエールのマスター他全員に頭を下げ、その後、史を手招きする。
榊原
「さあ、思いっきり弾けてくれ」
史
「はい、思いっきりです」
ニッコリと笑う。
そして、ついに二曲目、「ピアノ協奏曲第五番皇帝」である。
まず榊原がステージに出て、続いて史がステージに出ていく。
「すっごい拍手!」マスター
「ああ・・・胸が痛い、心臓がドキドキする」涼子
「私も・・・ヤバイ・・・」洋子
美幸も結衣も彩も胸を抑えて声も出せない。
里奈は、顔をおおって泣き出している。
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