第155話カフェ・ルミエール楽団演奏会(2)
さて、史はカフェ・ルミエール楽団の練習に参加するために、学園を出た。
もちろん、里奈はピッタリと史に寄り添って歩く。
里奈は史に声をかける。
「ねえ、あと一週間だね、大丈夫?」
史は、にっこり。
「ああ、別に、思いっきり弾くだけ、ベートーヴェンだし」
「小細工しても仕方ないし」
里奈は史の笑顔にホッとする。
「私も少しずつ、クラシック好きになってきたよ、史君のおかげかな」
史もうれしそうだ。
「じゃあ、今度、里奈ちゃんだけのために弾くかな」
・・・・まあ、暑くなるから、ここで省略。
そんな史と里奈が、カフェ・ルミエールにたどり着くと、どうやら店内が窓の外から見ただけでも、混んでいる。
「これじゃあ、とても珈琲なんか飲めないね」里奈
「そうだね、直接地下ホールの練習に行くかなあ」史
里奈と史が、結局カフェ・ルミエールの店内に入ることを諦めて、階下の地下ホールに行こうとした時に、突然店の扉が開いた。
そして、奈津美が出てきた。
奈津美は史に声をかける。
「あのさ・・・史君、内田先生が来ている、練習を見たいって」
そこまでは良かった、まだ驚かなかった。
史の表情には、変化がない。
しかし、奈津美の次の言葉で、史の表情が変化する。
「あのね、女子大生、つまり音大生が十数人・・・ずっと史君の話題だけ」
「それから・・・」
「音大の先生連中が、五、六人、かなり高名な人らしい、榊原先生と岡村先生、内田先生とタメ口になっているくらいだよ」
「え・・・マジ・・・何で?」
史は、ちょっと不機嫌な顔になっている。
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