第140話コンクールの打ち上げパーティー(1)

合唱コンクールで圧倒的な一位獲得をした合唱部の打ち上げパーティーは、当然カフェ・ルミエールになる。

史と里奈は、由紀の指示で「さっさとお店で準備!」ということで、表彰式直後にカフェ・ルミエールに移動することになった。

里奈もこれで安心である。


電車の中で

「演奏は別格だった、声の大きさも美しさもハーモニーもリズム感も」

「聴いていてうっとり、他の学校とは全然違う」

最初は演奏をほめていたけれど

「でもね、音大のお姉さんとか、他の学校の合唱部の女の子たちがね」

「史君が可愛いとか何とかばかりでさ、辛かった」

里奈は、そんなことを思い出したのか、史の横にピッタリと座る。


「ありがとう、里奈ちゃん、いろいろ」

「足を怪我した時から、ずっと一緒にいてくれて」

史も里奈の「心」を感じたのか、素直にお礼を言う。

・・・ということで、「まあホンワカ雰囲気」の中、二人はカフェ・ルミエールに到着した。


「はーい!おめでとう!」

店に入ると、洋子、奈津美、結衣、彩が拍手でお出迎え。


「応援ありがとうございます、何とか結果を出せました」

史は、キチンとお辞儀である。

「あの、録画したので」

里奈は、USBを洋子に渡している。


「それからね」

洋子は、またうれしそうな顔になる。

「合唱部の皆さんと岡村先生と榊原先生は当然だけど」

そう言って史をチラリと見る。


「?」

史はよくわからないようす。


「ああ、内田先生も来てくれるって」

「ピアノを史君と弾きたいなあとも」

洋子は、含み笑いをしている。

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