第138話合唱コンクール(3)
さて、学園の合唱部は全員揃って、コンクール会場に到着した。
会場には、既に他の高校の合唱部が多数集結、あちこちで発声練習などを行っている。
「さて、慌てることもなし、声を出さずとも、いいよ」
「とにかく体全体をリラックスして、本番の集中力にかけよう」
「つまり、思いっきり歌おう」
合唱部の岡村顧問は、本当に合唱部全体の身体と心の緊張を和らげる。
そんな岡村と合唱部の集まる所に、榊原先生と超有名ピアニストの内田が顔を見せた。
「さあ、楽しみだ」
「思いっきりな」
榊原先生は、いつもの通り、おおらかな笑顔を見せる。
内田先生も合唱部全体に声をかける。
「大丈夫、一度録音を聞かせてもらったけれど、素晴らしいもの」
「だから、他の学校は気にしないでいいよ」
「全ては岡村先生と史君のピアノにまかせて」
合唱部員とて、モーツァルトの権威、国際的にも有名な内田先生の言葉、感激しているようだ。
「ああ、それからね、史君」
榊原先生は、ここでニヤリと笑い、史を見る。
「え?何?」
少しボーっとしていた史が名前を呼ばれて榊原先生の顔を見た途端
「史くーん!」
「応援に来たよーーー!」
「がんばーー!」
ものすごい応援の声である。
「えーーーー!」
驚く史が、声の方向を見ると、数十人の「おそらく音大のきれいなお姉さんたち」である。
「マジ?」
真っ赤になる史、ようやくカチンコチンである。
そんな史に合唱部の女生徒はアセリ、里奈は顔を下に向け・・・
姉の由紀は「シメシメ・・・ようやく」で、史の頭をポカリ。
「ああ!スッキリした!」
由紀の顔にようやく元気が戻った。
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