第69話史の回復と結衣(4)
「ほお・・・確かにきれいだ、テーブルも広いし」
結衣は、文房堂三階の喫茶室に入るなり、少し感激。
壁には上品な絵というかアートが飾られ、照明も明るい。
「ここはよく来るの?」
結衣は史に聞いてみた。
「あ、はい、テーブルが広いし、空いているし」
ハンナリとした史の応え。
ウェイトレスが注文を取りに来た。
ケーキセットのメニュー等を持ってくる。
「わ・・・きれいな人・・・」
「でも、他の人もきれいだ」
結衣は、ちょっと焦った。
史の馴染みの店に、きれいなウェイトレスが何人もいる。
「それでね、結衣さん、さっそく」
「僕はカフェ・オ・レにします、お腹にやさしいから」
「結衣さんは?」
史の対応が、珍しく早い。
「あ・・・ローズヒップで」
つい考えずに、頼んでしまった。
史は
「ああ、ここのローズヒップ美味しいです」
ニッコリと笑っている。
「うーーーそこまで詳しくて、こんなきれいな人たちと・・」
結衣は、また焦った。
「さて、今日買った本ですが」
史は、結衣の焦りなどは、全く無頓着。
いろいろと、本の説明を始めている。
しかし、結衣はあまり聞くことができなかった。
それより何より、史が目の前にいることが、ドキドキしてならない。
「なんか、トロンとしてきちゃった」
「これが、史君のフェロモンかあ・・・」
「身体がゾワゾワしてきたぞ」
「顔が真っ赤になっているのが、わかるし・・・」
「史君に・・・押されてる・・・」
そんな状態で、結衣の受け答えは、「全くのシドロモドロ」になってしまった。
「スキアラバ」との思いも、そんな状態では無理だった。
史も結衣も、午後6時には、まっすぐ帰宅した。
結局、「超健全な形」で、結衣と史のお出かけは、「終了」となったのである。
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