第16話史の悩み(2)
担任は史からそれ以上の気持ちを聞きだすことはできなかった。
史の態度も頑なで、黙り込んでしまったのである。
担任はそれでも、史の暗い顔が心配になった。
そのため、音楽部の顧問に聞いてみようと思った。
音楽部顧問なら、もしかして何かを知っているかもしれない、そう考えたのである。
しかし、音楽部顧問からの応えは、意外なものであった。
「ああ、史ですか・・・彼は新聞部でいいでしょう」
「誘いもしなかったし、入部にも来なかった」
「私も興味もありません、我が音楽部には必要ありません」
本当にアッサリ、まるで「お門違い」風である。
そこまで言われてしまうと、担任としても、なかなかそれ以上は聞けない。
「そもそも入部希望がないのに」・・・音楽部顧問の「興味がない」発言も気にかかったけれど、結局トボトボと音楽部を引き上げたのである。
「うーん・・・でも気になるなあ・・・何かあるなあ」
「誰か知っていないかなあ、そもそも都内中学1位の史君に興味がないって、普通あるのかなあ、その上必要ないとまで・・・それが教育者の言葉かなあ」
担任は、どうしても納得できなくなってきた。
「ダメモトでいいかなあ」
担任は、史の姉、由紀に声をかけた。
姉の由紀ならば、合唱部だし、多少関連学部の音楽部のことも知っているかもしれないと思ったのである。
「わかりました、この話は・・・学園内ですと漏れても困るので」
「カフェ・ルミエールでどうでしょうか」
由紀は、何か学園内では話しづらい状態があるらしい。
「うん、わかった、あそこならOK」
担任も承諾した。
カフェ・ルミエールもいつの間にか、学園公認のカフェになっている。
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