電脳歌姫の誕生と消滅

作者 板野かも

103

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★★★ Excellent!!!

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電網世界の歌姫といえば、パッと緑のツインテールが魅力的な女の子が思い浮かぶ世代です(私が)。

もし、彼女を使用した楽曲にもよくあるように「今日から貴方がご主人様です。私に歌わせてください!」と言ってくれるAIが存在したら……

この物語は何十年と世代を越えて更新、保存されていくデータが終わりの日を迎えるまでの記憶のデータです。

無駄なく、すっきりとしていて読みやすいので、是非一読を。

★★★ Excellent!!!

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BGM:「ラインアート」-wowaka Feat.初音ミク-

 私たちは、心の底で欲しがっている。
 望んだ未来がつかめなくても、羽ばたける翼を。
 意識が消えてしまっても、残る自らの意識を。
 恒久に失われない、日々と安楽を。

 だからきっと自らを羽ばたかせる物語を紡ぐのだろうか。あるいは、自らの手を取って羽ばたかせてくれるものを求めるのだろうか。

 でも、人間の意志が介在するものは弱いのだろうか。大抵のものが光を抱いて誕生し、そっと消滅してしまう。そうデザインされているように。ある意味身勝手で、でも俺は許しがたさを感じられなかった。

 そんな人々と、「自分」の思い、そして『もう一人の自分』に翻弄された少女の話......。


 俺は、革新的な作者の手法に驚かされる。読者は、誰の視点でこの物語を見つめるのだろう。俺は、誰にもなれなかった。それなのに、俺は没入してしまう。その理由を探してみるといい、俺の答えは、上に述べたとおりだ......。

 作者の他作品にリンクする場所、そして私たちの現実にリンクする様々なキーワードで埋め尽くされていて、興味をそそられるような仕掛けは巧みだ。
 そしてSF的な恐ろしさと希望と、ファンタジックな残酷さと優しさを内包した、心地よい読後感に満たされる。

 だがこれは物語の入り口にすぎない。そんなお話です。

★★★ Excellent!!!

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AIに人格はない。学習したデータを元に、まるで人間であるかのように振る舞う。
そこに人格があると感じるのは、人間がそうであると勝手に思っているだけだ。

そして人格があると言いながら、人間の都合でモノとして捨てられる。
ちょっぴり切ない感じがした。

本作では48million本編の前のお話。
総アイドル社会とその前の社会。その狭間で、どうしても動けなくなった少女がいたということを知った。
あぁ、こんなことが。社会の裏に隠れた出来事を聞くと、やはり少し切なくなる。

★★★ Excellent!!!

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短編詩集のようにさらりとしていながら、小さな風穴を残していく物語。例えるならばそれは、肺気胸のような息苦しさだと思います。

私はシンギュラリティの到来に懐疑的な立場の人間ですので、この物語で描かれる190年間の事の顛末を、自然な気持ちで見守る事が出来ました。

しかしこの現実に立ち返っても、胸に咲いた真空から漏れる風鳴りは、胸騒ぎとなって問い続けます。

人間らしさを求め、人間らしさを整備し、最終的にそれは成されるのでしょうか。
たとえどんな未来を辿ったとしても、人々がアイドルに求める偶像は、人間らしさに他ならないのだと痛感させられる物語。

『人間』が痛みを覚える時、電脳の存在もまた痛みを覚えている。
そのあたたかさが、やはり息苦しさを連れて歌っています。

きっと千年先も。

★★★ Excellent!!!

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48million本編を未読なもので、もしかすると的外れな批評なのかもしれないが、こちらは大いなる物語の前奏曲のような期待感と、夜想曲のような寂寥感を感じさせる物語だ。

電脳歌姫は、未来と過去の双方の象徴であり、現在の象徴でもある。
今の社会を風刺する内容も興味深い、どこか胸を締めつけるショートストーリーだ。

★★★ Excellent!!!

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現在の音楽業界ではCDの売り上げが落ち、代わりにライブ収入が増えているとか。
それもそうです。
変化しない録音物よりリアルタイム演奏の方が熱も入ります。
しかも、自分の為だけに歌ってくれるならなおさら。
きっと美音ちゃんも、そんな需要からAIとして生み出されたのではないかと想像してみたり。

そして、ライブ感と同じくらい必要なのが「人間らしさ」。

最初はイライザもかくやといったぽんこつっぷりですが、徐々に人との接し方を覚え表情豊かになっていく美音ちゃんが素敵でした。
例えAIでも、これほど情緒豊かな存在が歌うならきっと聞き入ってしまいます。
去りゆく流行を儚んだり、マスターを心配したり、そうして人に寄り添う彼女が歌う歌は、MP3の録音物より聴く人の心を掻き立てるはず。

あまり歌唱力が評価されていないのも、可愛げがあって好きでした(笑

個人的に面白かったのは、美音ちゃんが雰囲気に合った曲をマスターにおススメするところ。
既にiTunesのようなサービスは再生環境と統合され、宣伝と購入が意識せずに行われているのかな、と思いました。
きっちり〇ASRACと連携してるので、美音ちゃんが既存曲を歌う度著作権料が発生してる……?

現実では阪大の石黒浩教授がロボット演劇を主導したりと、五感を用いた表現の場へもAIやロボットが進出しています。
これらのムーブメントがどのような形で収束するのかまだまだ分かりませんが、本作の様に温かなものであることを願うばかりです。

★★★ Excellent!!!

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 現実世界でもあともう20年もすれば、AIが搭載されたロボットによって、世界に存在する大概の職種が消えるというニュースを読んだことがあります。逆にAIが代替できないものってなんだろうと考えたときに私はまったく思いつかなかったのですが、アイドルを挙げているのが面白いです。生身の人間の歌唱には敵わない、同種族だからこそ共感が得られるというのも理由としてあるのでしょうか。それによってAIが追い込まれて消滅してしまう、というのは何とも皮肉的だと感じました。

★★★ Excellent!!!

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コンテスト期間中に「48million」を読ませていただいたときも感じましたが、
この作者様はなんて素敵な感性をお持ちなのでしょう。

人によって命を与えられ、人の都合で用済みとされてゆく電脳歌姫の切なさが、繊細な文章から伝わってきます。
第1話のアイドルソングオンパレードが、最初は笑いどころのように見えて、
後の展開の伏線になっているという構成もお見事でした。

この作者様の作品をもっとたくさん読んでみたい、と思わせてくれる一作です。

★★★ Excellent!!!

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48系アイドルの歌ばかりがチャートを賑わせる、
どこか私達の現実と地続きのような未来で、
最新AIを搭載した人工の歌姫がけなげにがんばる話。

たったこれだけの短編のなかに、
いくつものドラマが詰まっています。

そして48グループを知っていたら笑えるネタの数々(笑)
どこかで聞いたことのあるような曲名ばかり。
ちゃんと新潟や瀬戸内まで出てきてる!とか。
名古屋のJRコンビ死んじゃったの!みたいな。(笑)

最後の最後まで読み進めて、お別れの歌の曲名を見て、
あああー、美音って、それかあーーー。みたいな。

ほんとこれ面白いです。感動しました。

★★★ Excellent!!!

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読ませていただきました

どのエピソードも泣けたり面白かったりです
これ、未来でのお話なんですよね……
美音ちゃんがうちに来るのは賛成ですが、アイドルの歌しか歌われなかったり、インターネットが廃止になったりとかは絶対にして欲しくないです。やはり今が一番ですね