第5.5章 魔法幼女④

 手前に味方陣営、奥に敵キャラがいて、味方の女の子たちが酷く傷ついていて腕や足を抑えて息が荒くなっているのに対し、敵キャラは浅い傷こそ喰らっているものの余裕そうな顔で女の子たちを見ているという場面。

 味方側で一番前に立っているピンク色の髪の女の子がどうやら主人公らしい。

 その子だけはどうゆう展開があったかは分からないけど、変身してない姿で周りの知り合いと思う女の子たちに、絶望的な表情で歩み寄っていた。


『みんなどうして⁉ あたしなんかのために……』


『あなたが私たちに何か隠していたことは、みんな薄々気付いてましたわ……』


『えっ……?』


 駆け寄った黄色い髪の女の子に見透かされたような顔になる主人公。


『何で……一度も話したことないのに……』


『そんなの、あんたの顔見てりゃなんとなく分かんだよ。あたいたちを見返すために陰で努力してるだろうなって』


『自分の力が足りなくて足手まといになってるかもって不安でしたでしょう? だから私たちに隠れて頑張って、新しい技を生み出した。違いますか?』


 青い髪の女の子にも見抜かれ、もう隠し通すのは無理だと気付き、意を決して主人公の子は言った。


『……そうだよ。確かに二人に隠して技の特訓してたことは認めるよ。でもあれはまだ未完成で、とてもいきなり使えるような技じゃ――――』


『何言ってんだよ今更。あたいたちがこんな姿になって戦ってるのも、あいつらみたいなやつがわんさか攻めてきたのもいきなりだったじゃんよ』


『そうですよ。それに、私たちだってまだ戦えます。さあ、行きますわよ!』


『ああ!』


『二人とも……ありがとう』


 主人公の子はにじんだ涙を手の甲でふき取ると、身体の前に手を構えた。

 すると柄の先ピンクに輝くハート形の宝石がついた杖が、彼女の掌から両端に伸びるように生成された。

 その杖を地面に水平に構えて、彼女は叫んだ。


いかづちの精霊さん、お願い! 《――――》』

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