第六話 白狐様

前編 聖穢

【白狐の言い伝え】

 この山には、白い狐が出るという噂があったんよ。

 その狐の跡を付いていくと、きれいな水が湧き出る泉にたどりつくそうな。 

 あるとき、家同士が不仲でどうしても一緒になれない男女がおったんさ。

 二人は死のうと思って山に入って、白狐に逢うたんやと。

 泉にやってきた二人が、狐の促すままに水を飲むと、心が安らかになって、

 死のうという気持ちは失せてしまったそうな。

 村に帰るとあら不思議、両家の仲違いはすっかり解けとって、二人は無事、結婚することができたのだとさ。

 それ以来、泉の水には縁結びの御利益があるという噂が広まったが、白い狐に出会える者は、時が経つにつれて、ほとんどおらんくなってしまったそうだね。

          (時見高校二年一組が宿泊した旅館の亭主の話より)



       ☆



 十二歳の時、ある日突然神の声を聞き、ゆめの世界へと迷い込んでしまったエリス・カーライルの人生は、どこまでが正解で、どこから間違いだったのか、それは誰にもわからないことだった。

 普通に暮らしたいと思いながらも、容姿のせいでいつも不本意に目立たせられてきた彼女にとって、自分をさらに異質な存在たらしめるその力は、忌まわしいもの以外の何者でもなかった。

 エリスは何度も指輪を外そうとしていたが、一向に取れそうな気配がなかった。勝手につけておいて取り方を教えてくれないとは迷惑なものだ。

「おい!出てこいや神」

 粗雑な言葉遣いとは裏腹に、鈴の音を鳴らしたような甲高い声が響き渡る。

 家の隣にあるので、嫌でも目に入る神社の、小さな社に、エリスはずかずかと土足で踏み入る。そんな荒々しい雰囲気を持つ少女である。

「はいはい?」

 どこからともなくゆったりと姿を現した長身の男が、龍神である。

「こんなん高校に付けて行ったら余計に目立つじゃんよ!なんとかしろよ」

 拝殿に土足で立ち入るのを咎めることもなく、笑顔で迎える龍神を、エリスはキッと睨みつけた。

「この期に及んで目立ちたくないなんて、もう手遅れでしょうに」

 龍神はまぁまぁ、と両手を挙げてなだめる。

 腰まで伸びる綺麗なプラチナブロンドの髪とライトブルーの瞳に、小顔で色白、均整のとれた抜群のスタイル。その姿で小鳥のように澄んだ声を持ち、非常に口が悪く負けん気の強い彼女は、傍目から見ればガラの悪い不良そのものである。平穏で保守的な田舎町にはあまりに不釣り合いで、歩いているだけで、世にも美しく珍しい鳥を観察するような目を向けられてしまうのだった。

「明日持ち物検査があるんだよクソがああ」

 そんなことをしても無駄なのはわかっているが、エリスはまた力ずくで指輪を引っこぬこうとしていた。

「女の子がそんなクソとか言ってはいけないよ。エリスは黙っていれば世界一可愛らしいのに、もったいない」

 落ち着いた声で、龍神は諭した。二言目には龍神はエリスのことをよくベタ褒めするのだ。

「はああ?んなことあんたに言われても嬉しくねーよ」

「一体どこでそんなグレてしまったのやら」

 と、龍神は困ったように肩をすくめる。

「はーもう、うるさい。親か」

 

 会えば言い合い、というか、一方的にエリスが不平不満を並べ立てるのが日常だった。龍神はいつも笑顔を絶やさず辛抱強くそれらを受け止めていたが、エリスにはその余裕すらも腹立たしく思えるのだった。だがそんなふうに言いたいことを言えるのは、この神様が唯一自分の気の許せる相手だからでもあった。

 街も、学校も、どこか窮屈で、いたたまれなかった。

 こんな田舎ではどこへ行っても、何をやっても、突飛な容姿ありきで注目される。スーパーに行けば、レジのおばさんたち全員に顔を覚えられていた。部活で表彰され、壇上に上がるときには既に全校生徒がその後ろ姿を知っていた。

 自分は誰も知らないのに。

 家はといえば、もっと居心地が悪かった。母親は少し変わった人で、同じような金髪をしてはいるものの、それを気にも留めずに我が道を貫き、自分の思い通りの暮らしをしていた。エリスはそんな超然的な態度が気に食わなかった。娘のことも、わかったようなフリをして、全然ちゃんと見てくれないくせに。近所では母親が『魔女』と密かに揶揄されていることも、エリスは知っていた。それを指摘すると、好き勝手言わせておけばいいとやんわりと言い返された。お母さんはいいかもしれないが、そしたら私も魔女の娘なんだ――そう思うと気が重くなった。

 それにそれは、あながち間違いでもないのだ。

 

 結局指輪は、包帯で巻いて、これで永遠に突き指したことにしといてやる、という半ば投げやりな感じで処理された。

「あんたは神様のくせに、やけに馴れ馴れしいよな」

 呆れたようにエリスが言う。

 友達もなく、家も自分の部屋も好きではないエリスには、仕方がないから神社にでも行くか、という考えが幼い頃から染み付いていた。例え喧嘩をした次の日でも、龍神は毎日快く出迎えてくれたし、ゆめの中でもエリスが自由にいられるよう、居場所を作ってくれた。

「そうかな。いや、エリスは、私の姿を見ることができる唯一の人間だから嬉しくて。人間はみんな好きなんだけれどね」

「威厳がねぇ」

 ばっさりと、エリスは言い放つ。

「はっ!すみませんでした」

「話しやすくていいけどな」

 しかめっ面の多いエリスが、少し微笑む。気まぐれな彼女はたまにそんなふうにころりと態度を変える。その瞬間だけで、龍神の心は満たされるのだった。

「でも、他の神様はどうも好きになれないな。お互いに、反りが合わねー感じがする。みんなあたしの髪色を不思議そうに見るし。日本人は容姿をいちいち気にしすぎだっつーの」

 エリスはよくそうこぼす。最近では時見町の神様たちに極力会わないようにしていた。龍神は諭すように言う。

「古い神様は、君のような個性的な人間を受け入れにくいのかもしれないね。私はそんなエリスの人間らしいところが好きだよ」

「あんたの好みは聞いてねぇ」

 どすの効いた低い声を試みるも、いまいち迫力に欠けている。

「でもさ、なんであたしを神使にしたの?」

 おもむろに、エリスは尋ねた。

「一目ぼれしたからさ」

 飄々と、神様は言った。

「それにエリスは異国の血も引いてる」

「魔女だからね」

 エリスは自虐的に言い捨てる。

「私はただ面白いなと思ったんだ。それだけだよ」

 龍神は微笑んだ。それは自分勝手な理由だった。だが神様の考え方なんてそんなものだ。気まぐれで、人間の迷惑とか、人間の都合などはお構いなしなのだ。

「ありがたいけど、あんたの期待には答えられないな」エリスは苦々しく思いながら言った。

「高校を出たら、あたしは日本から出る。海外で暮らす。神様たちともお別れして、普通の人間として生きていくよ」

「そうしたいなら、そうすればいい。困ったときは帰っておいで。私はいつでもここにいるから」

 龍神はほほ笑みを絶やさずに答えた。少し寂しそうにしていることには、エリスは気づかないふりをした。


   ☆


 時見高校二年生の、七月初週に三泊四日で行われる修学旅行、行き先は九州。沖縄以外で、九州七つの県の、どこの観光スポットをめぐるかコースはクラス単位で決めるという形式で、明日歌たち二年一組では長崎と大分、熊本、福岡を一日ずつ回る。

「こういう時、移動中にも神社探しちゃうのって職業病ですかねえ」

 夕飯に大食堂で、たまたま向かいの席に座った翡翠が、ぼそっと言った。

「そうなんだ」

 自分はそこまでではないな、と思いちょっと笑いながら、明日歌は三つ葉とかまぼこの入ったお吸い物に口をつけた。

 祖母は普段和食をあまり作らない。だから、こういうきっちりした日本料理はとてももの珍しく、どこから食べて良いのかわからなくなる。

 対する翡翠の礼儀作法は、どこで教わったのか非の打ちどころのない完璧さを極めていた。綺麗な箸の持ち方で焼き魚をほぐし口に運ぶ様子なんかは、流麗で、思わず見蕩れてしまう。しかもそれは当たり前の習慣とでも言うような余裕さで、

「こういう旅館はいいですね。落ち着きます」

 などと宣い、のほほんとしている。旅行中はゆめにまつわる諸問題から一時解放されて、クラスメイトと穏やかに談笑している様子は、明日歌を少し安心させた。

 

 一日目の宿は趣のある純和風の歴史の有りそうな旅館で、日本人形や日本画が各部屋の装飾品として飾られている。これが夜中に動き出したり、なんて心霊番組によく見られる怪奇現象を連想するので正直やめてほしかったが、美月は興味津々で一つ一つカメラに収めていた。

「すぐ近くに神社があるらしいので、あとで行ってみようと思ってます」

「あの、私も行っていい?」

 隣の美月に聞こえないようにこっそり訊ねる。というのには訳があった。

「もちろんですよ」と、答えながらもその申し出は少し意外だったようで、翡翠は少し首を傾けた。

「でも、大原さんたちはいいんですか?」

 明日歌は美月と、最近同じクラスで新しく親しくなりつつある二人の友人と、四人の班で行動することに決めていた。ちなみにその二人、愛内さんと久徳さんはあの幽霊騒ぎの時のギャル――自他ともに認める今世紀最後の正統派ガングロGALLだ。(時代遅れといってはいけない。)

 今夜は彼女たちと同室である。

「なんかあの人たち、怖い話のアプリで百物語するとか、部屋の絵の裏側に御札貼ってないか探すとか言ってるから」

「あっ」

 察し。


 神社といっても、それは大樹の麓に建てられた小さな祠で、旅館の裏道を少し歩いた雑木林の中にあった。そこにあると知らなければ、まず見落としてしまうであろう。

 街灯もなく、雑草が抜かれて砂利道にはなっているものの、舗装されてはいないので歩きにくい。この夜道を一人で歩くのと、部屋で怖い話を聞いているのを比べたら、後者を選んだに違いないけれど。

「ギャルさんたちと同じ班、どうですか?」

 隣を歩く翡翠と、静かに話をする。

「楽しいよ。みんないい人だし」

 明日歌は答えた。翡翠のその呼び方もどうかと思うけれど、黒ギャル二人に爽やかスポ根系少女と外国人。傍から見ると、妙な組み合わせに見えるのかもしれなかった。

「そうですか」

 顔は見ないでも、彼が微笑むのがわかった。

 七月の夜は過ごしやすく、半袖でも寒くはなさそうだったが、蚊に刺されそうだったので、二人共長袖のパーカーを羽織ってきていた。

 賑やかで暖かい旅館の部屋の明かりが、木々の間に小さく見えている。わざわざ暗くて足元の悪いこんな古びた祠にやってくる人など、他にはいない。

「みーちゃんたちに、バレないかな」

 ちらりと後ろを振り返って、明日歌は呟く。

「俺はバレても全然いいんですけどね」

「どういう意味……」

 平然と嘯く翡翠に、上手く反応し損ねて苦笑する。内心どぎまぎしてしまうのはいつものことだ。けれど、きっと軽口のつもりなのだろう。間に受けない流し方をそろそろ身につけなければ。

「そんなことより、怖がりな白瀬さんを独りにするほうがよっぽど嫌ですし」

 そうか、と気づいて、明日歌は肩を落とした。

「……私がついていきたいって言ったんだった。ごめん」

「いえいえ。一人より全然良いよ」

 しかし不思議と、そんなことを話していると、暗闇も平気なのだった。ときどき変なことを言われない限り、翡翠と話しているときは、心が安らぐことを、明日歌は確信していた。

「この山の神様にお参りしましょう」

 大樹を見上げながら、翡翠が言った。

「神様、いるの?」

「きっと」


「いるよ」


 後ろ上から、幼い声が掛かる。

 振り返ると、小学生ぐらいの子供が、背後に伸びる木の上に腰掛けて、裸足の脚をふらつかせていた。質素な白い水干を纏っている。細長くつり上がった目をしており、月明かりに浮かび上がるような白い顔の薄い唇にうっすら笑いを浮かべた表情で、男の子か女の子かわからないが、長い黒髪を後ろでひとつにまとめている。

「ひゃああ」

 押し殺した悲鳴を上げて明日歌は思わず翡翠の背中に隠れた。

「白瀬さん、怖くないですよ!神様神様」

「ああ、そっか、ええ、と、こんばんはー……」

 視線を上げ、おずおずと会釈する。

「やぁ」

 子供の姿の神様はにっこりして、そのまま音もなくすたっと地に降りてきた。

「もしかして修学旅行?」

 珍しそうに目を輝かせながら、神様は尋ねた。無邪気にはしゃぐその様子は、子供そのものだ。

「そうです。藤村翡翠と申します。こちらは白瀬明日歌さん。お目にかかれて光栄です」

 翡翠が丁寧に頭を下げる。

「おいはこの山の神ばい。白狐様ってみんな呼んどる」

 なるほど白い狐というわけか。しかし完全に人の姿をしている。尻尾が出たりもしていない。

「二人とも神使とかめずらしいわー。高校どこよー?」

 と、神様は嬉しそうに聞いてくる。九州の他県はともかく本州のしがない公立高校の名前など言われてもわからないと思うけれど、翡翠は丁寧に答えていた。

「つい最近も、修学旅行生の神使が来たばい」

「ほかの神使が来たんですか?」

 明日歌は目を輝かせた。神様から直接その存在を知らされると、仲間を見つけたようでわくわくして。

「四十年ぐらい前……だったかな」

 神様にとっては昨日のことのようなものなのかもしれないが、四十年前の高校生ならもうその時のことを覚えているかすら怪しい。

「なーんだ」

 少しがっかりしてしまう。


「そんなことより君、大丈夫?だいぶ穢れが溜まってるけど」

 白狐様は明日歌に向かって突然そんなことを言い出した。にわかに自分のことだとは気づかず、反応が遅れるも、

「わ、私がですか?」

 驚いて、ぱちぱちと目を瞬かせる。「穢れって何?」

「おいはこの山の神だから、不浄なものはすぐ見えるんよ。君の場合は、心さね」

 神様は、小首をかしげながら明日歌の方に近づいてきた。暗闇に、獣のように青白く輝く二つの眼と、裸足でも草むらに取られることのない軽やかな足取りが、この世のものではなさを際立たせている。

「そ、そうなんですか?穢れ、溜まってると良くないですか?」

 答えは予想がつくが、一応聞いてみる。

「良くないね。君、自分のことは浄化できんとね」

 たしかに自分自身を浄化できたら便利かもしれないな、と明日歌は思った。けれども龍神はたしか、怪我を癒せばその分だけ自分は傷つくと言っていたし、たぶんその理屈で考えると自分を癒すのは不可能なのだろう。

「どういうふうに良くないんですか?」

 今度は翡翠が訊ねていた。明日歌ほどは驚かなかったようで、冷静で、真摯な問い掛けだった。

「人によるね」

 山の神様はうーんと唸った。それから思いついたように言った。「気分がもやもやするかな」

「それは、よくあります」

 明日歌は思わず答えた。なんだ、それぐらいなら大したことはない。

「だろうね」

 ふんふんと意味深に頷きながら、白狐様は言った。

「白狐様」翡翠は落ち着き払って語った。「実は、俺たちの街は今、呪いに侵されているんです」

「のろい……」

 白狐様はほう、と小首をかしげた。何百年も平穏に暮らしている神様にとっては、それは縁遠い言葉なのかもしれない。

「それで白瀬さんは、最近……」

「悪霊に取り憑かれたんです」明日歌は、翡翠がちらりと自分を見て言いよどむのを感じ取ると、その言葉をすぐさま引き継いだ。

「それで、穢れがついてしまったんでしょうか」

「そうかもしれないね」

 神様は子供のようなあどけない声で淡々と答えた。「でも本当のことはわからない。それがどんなに明日歌の心の中に巣食っているか、それは君自身でしかわからないよ」

 心の中に、もう悪霊はいない。それはたしかだ。だけど、もしかして、自分では気づかない何かが巣食っている、なんてこともありえるのだろうか――それもない気がする。

「川の水で手を洗っていくといいよ。本当は禊をしたほうがいいけどね。ま、いいか」

「禊って……大丈夫なんですか?」

 と、翡翠。とても静かだけれど、その言葉には幾分か動揺が見られたし、顔には心配の表情がありありと浮かんでいる。

「え、ええと……私、は……」

 明日歌はそんな彼の反応を見て、おろおろと声をすぼめた。ただでさえ心配をかけることが多い身だというのに、今またいらぬ気苦労を重ねていることに、申し訳なさを感じてしまう。

「自身の問題だから、おいはどうすることもできん。でも明日歌、君は自分のほんとの心に従えば大丈夫」

 けれどどこか釈然としない思いで、明日歌はその言葉を聞いていた。今まで、心に穢れがあるなど全く思いもよらなかったのだ。

「私何か、したのかな」

 困惑したように、明日歌は呟いた。やはり自分の心の中には思い当たる節がない。漠然とした憶測の不安に駆られるだけだった。

「白瀬さん」

 辛抱強く、言い聞かせるように、気遣いながら、その声はそっと呼ぶ。

「気に病んではだめです」

 暗闇に、瞳は翠に輝いていた――それは彼の穏やかな慈悲を映す鏡である。

 瞬間、


 ああ、まただ。また私、なんで――。

 

 その言葉に、うつむいた顔がふてくされた子供のように歪むのがわかった。

 奥歯を噛む。視界が鬱いでいく。

 温かいはずなのに、とても寂しくなる。――とても、虚しく。


「白瀬さん?」

 二度目の呼びかけで、明日歌ははっと我に帰った。おかしな反応をしてしまったことを悔いる。

「あ、うん、大丈夫」

 努めて、気にしていないふうを装う声は、一段高くなった。

「驚かせてしまったね」神様はごめんごめん、と謝った。

「大丈夫です!ご心配をおかけしてすみません」

 少しやりすぎなぐらいに元気な声で、明日歌は神様に一礼した。それから翡翠の方に向き直ると、「藤村くんも、ごめん」

「私、もっとしっかりしなくちゃね。穢れなんかに負けずにがんばらなきゃ」

 と笑顔を見せた。翡翠はなおも明日歌を心配そうに見守っていたけれど。

「君はひとりじゃないからね。その人を大切にね」

 と、白狐様は優しく言った。

「はい」

 明日歌は、気を取り直して力強く頷いてみせた。

 神様はそれから翡翠のほうを見て、

「あと川の水は好きなだけ持って帰っていいからね」

 気前が良い。

「ありがとうございます」

 明日歌はぺこんとお辞儀をする。しかし頭を上げると同時に気づいた。

「どうしよう……ペットボトルとか持ってきてないんですけど」

 あそっかぁ、と白狐様は子供の声をあげる。

「じゃああとで神域に来るとよかよ。ここより広いし、虫もおらんしね。うちの水は、疲労・肩凝・腰痛・リウマチ・交通安全・縁結び・祈願成就にもよく効くばい」




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