第9話 変化 へんか
あのデザインを見た時……
でも、それは私も思った。
しかも、そのデザインをする……という事を今でも続けている。それは、とてもすごい事だと感心してしまう。
いや、本人としてはただ好きなだけなのかも知れない。
「しかし……まさか、
そう、
でも、その手紙ががついこの間、私の元に届いたのだ。
「自分から渡しにくいっていうのは、分からなくもないんですけど……」
手紙を手にした私は誰も聞いていないとしても、そう言いたくなってしまい、思わず声に出してしまっていた。
たとえ、自分から渡すのは……と思っていたとしても、こういう手紙は
しかし、
「それに……」
多分、
それは、私の家に来た時の表情で何となく分かる。
「…………」
しかし、
そもそもそうなったのは、
確かに、私の会社で勉強をすれば……多少は、力になる。
しかし、それを考えたとしても、やはりこの時の
でもまさか
私はずっと幼い頃の子供の『夢』や『願い』は変わりやすい……と思っていたが、あの部屋に入ったときに見た『大量の紙』を見た時、私はそんな自分の考えを改めようと思った。
なぜなら、
「私にも……」
そこまで熱中出来るモノがあれば……。
「あっ、そういえば……」
ここ最近、社員たちの間で『とある
私もそのお店の存在は私も知っていたが、行ったことがない。
しかし、先ほど
そして、社員たちの噂の話を
「…………」
――いざ、思い返してみると、たった一日だけ、いつもの
それは『外出』だ。
確か、
詳しい理由は知らないが、なぜか
だが、なぜか珍しく『外出』をした日があった。しかも、帰宅をした時間もかなり遅かった。
しかも、あの日は
そして、その日からあの『紙の束』を
「……でも」
あの『紙の束』は、なぜか使われたような形跡が一切ない。
それは、どこか
社員たちの噂話の通りであれば、
そういえば、社員たちはこうとも言っていた。
『あのお店で買ったモノは、その人の人生すら変えてしまうことがある』
しかし、コレは何も根拠がない。
しかも、どちらかと言うとコレは『おまじない』や『占い』に近いモノであることはすぐに分かる。現実的な話として考えると、あまりに『非現実的』な話である。
――だが、私には少しだけこういった感覚に似たことを体験した人を知っている。
それは主人。『
あの時も、私が永習さんの営む『
夢の中ではあったけど……。
私は未だに信じられないが、彼の言っている事が嘘とも思えない……なんて前例があるため、今回の
「まぁ……でも」
しかし、私がなんと言おうと、使うかどうかは彼女の気持ち次第であることには変わりない。
「もし、使って何かが変わったとしても……」
彼女は、きっと『根本的なところ』は変わらないだろう。
それは、私が亡くなった彼女の父『
『このデザインの着物を着て、みんなに笑顔になって欲しい……』
そんな作り手が着る人に対する『気持ち』が、
その気持ちがあれば……あの子は大丈夫。
今はまだ
でも、しばらくは元気がないだろう。しかし、
そして、これから彼女が生み出すであろう様々なデザインが、私は今からとても楽しみだった……。
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