第9話 認知 にんち
「でも、その『印』偶然見えた……としか言えないだったのだけどね」
少女曰く『偶然見えた』のは、あの子供が謝罪していた時らしい。
「まぁ、少し『印』みたいなものが見えてね。それに、どこにあるか……なんてわかるのは本当に
「……
「そうね。簡単に表現するなら、『神様』だという事を表す『証明』みたいなモノね」
「へっ、へぇ」
要するに、『何かの証明書』みたいなモノか……。
「でも私も初めて見たし、ちょっと聞いた事があった程度で、そういった『
「……」
いや、その前に『どこで』その『神様』の話を聞けるんだろか。
俺が分かるのは、せいぜい『神様』は『神社』で祭られている……程度というお
「じゃあ、あの子供が突然現れたのは……」
「いいえ。あの時の彼女はまだそんな事が出来るほどの力はなかったはず」
「……というと?」
「あの子は多分、私たちがこの時代のこの場所に移動してすぐに、この店に来たのよ」
あまりにもキッパリとそう言った少女だったが、俺は話につけていけず、
「??」
「実は、ここに来る前にちょっと玄関の方から物音がして気になってね。しかも、まだ
「あー」
実は前にも『突然の物音』で色々な事が起きていた。それは突然人が倒れて来たり、猫が現れたり……と本当に色々なシチュエーションがあったのだ。
しかし、少女曰くその時は誰も何もなかったらしいが、『ある変化』に気付いたらしい。
「多分、あの子は明かりも何も
「えっ」
このお店には棚がある。多分、彼女はその棚の上を『歩いた』らしいのだ。
しかし、周りは暗く、視界は悪い。
その為、彼女は棚に置いてあった
「まぁ、落ちていた籠の中には何も入っていなかったからよかったけど……」
「でもまぁ、その籠に気が付いたおかげであんたは」
あの『神様』はどうやら
「ええ。あなたは
そう、少女はいつも一階の居間で寝ている。
そして、滅多な事がない限り俺が寝ている二階には来ない。だからこそ、二階の『
「彼女は、あなたが『見つけたこと』によって……元々の大きさになれた」
「それは……俺がこの扉が開いている事に気が付いたから……ってことか?」
「多分、その事に気が付いたのも理由の一つだったでしょうけど。元々『神様』と呼ばれる方たちは『人に認知』されることが大事なのよ」
「認知。じゃあ、今のあの子は……」
「昔は知らないけど、今のあの子は、神様としてあまり周りの人に『認知』されていない様ね。それにより、元々の力も……そして姿すら……弱くなっていたのではないかしら」
「…………」
「それは多分、一番良かった時より……」
「比べ物にならないくらいほとんどなくなっていた……に近かったという事か」
確かに何もない所に……突然現れた様に見えたのも、俺が気が付かないほど『小さく』なっていたのであれば、そんな風に『見えた』だけなのだろう。
「なるほど。話は……通らなくはない……な」
しかし、そうなると……。
なんて俺は、今までの感じていた違和感がどんどん分かっていっている様に感じた――。
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