飛び越えて
彼女は歌いながら飛び越えた
彼の目の前の柵と
彼の背後の濁流を
彼女は笑って飛び越えた
彼と彼女の長い過去と
彼と彼女の傷ついた年月を
細く白い両足で
水に濡れた地面を蹴って
彼女は振り向き彼を見た
夜の月のような彼女の笑顔を
彼は己の目に焼き付ける
彼女は彼に問いかける
「あなたは飛べる?」と問いかける
「こちらへ来れる?」と問いかける
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