湖の彼女

彼女が住んでいるのは

東の果ての湖のほとり


彼女が眺めているのは

山の向こう側へと飛ぶ飛行機


彼女は幾度も呟く

飛行機のパイロットの名を


あの日に手をつないだ彼の名を


彼女が住んでいるのは

透明な魚が泳ぐ湖のほとり


彼女が眺めているのは

まっすぐに空を進む飛行機


彼女は繰り返し願う

飛行機のパイロットの無事を


もういちど彼の頬に触れる日を


彼女が佇むのは

人々の祈りが漂う湖のほとり


いとしい人への思いが満ちる湖のほとり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る